掲載日 : [2021-12-08] 照会数 : 3393
韓国人の日本留学140周年行事…韓日共存の主役歴史と役割探る
[ シンポジウムを進行する申景浩教授(右から3人目) ] [ 記念写真展も開催した ]
「2・8会」と在日韓国留学生連
韓国人の日本留学は1881年、日本への調査視察団に随伴員として参加した兪吉濬と柳定秀が帰国せず日本にとどまり、福沢諭吉の経営していた慶応義塾に入学したのが始まりとされる。今年で140周年の節目を迎え、社団法人2・8会(洪来輪会長)と在日韓国留学生連合会(尹竣泳会長)が11月27日、東京・新宿区の韓国文化院で記念行事をオンライン開催した。
記念写真展も
記念行事は韓国人の日本留学の歴史を振り返りながらその現状と実態を分析し、韓日両国共存の主軸としての役割を探るのが目的。テーマは「共存と開拓、そして共に未来へ」とした。はじめにシンポジウムがあり、韓日の有識者3人と学生代表4人が報告に立った。座長は留学生として来日した国士舘大学の申景浩教授が務めた。
報告によれば1881年当時、日本留学の目的は国情視察だった。1881年に国費で来日した尹致昊は大蔵省を中心に視察し、随行員の柳定秀と兪吉濬を福沢諭吉に預けた。これが日本初の外国人留学生となった。日本は清国や西欧諸国からの脅威に対抗するために隣国の文明開化が必要と考えており、双方の利害が一致したとされる。
留学生出身の代表的起業家として知られるのはサムスン創業者の李秉煕と48年にロッテを設立した辛格浩の両氏だ。01年、JR新大久保駅での人命救助で犠牲となった李秀賢氏は韓日関係が悪化しているなか、大きな感動を与えた。
韓国人留学生連合会が実施した最近の内部アンケートを見ると、日本文化や日本語に興味があることから留学につながり、卒業後も母国語と日本語能力を活かして日本で就職を志す学生が目立っていることがわかった。厚労省の発表した外国人雇用状況を見ると17年10月末時点での韓国人労働者の数はおよそ5万6000人と前年比10%以上の伸び。日本留学に限らず、韓国国内の大学を卒業して日本で就職する動きも増えてきた。
在日韓国留学生連合会では、これからも留学生が日本で生活していくのに苦労しないサポートに努めていくとしている。同時に「日本学生未来会議」(JKSFF)のような団体などとの韓日文化交流事業も推奨しており、このことが良好な韓日関係を維持していくのに役立つと話している。
会場では記念写真展も同時開催された。
(2021.12.08 民団新聞)