掲載日 : [2017-07-26] 照会数 : 5573
<川崎>ヘイトデモ中止に…市民らが再び阻む
[ ヘイトデモ中止に ]
中原区、昨年6月に続き
【神奈川】川崎市の在日韓国人を標的に「日本浄化」を叫ぶ極右差別主義者が呼びかけたヘイトデモが16日、中原区の路上で抗議のプラカードを掲げる多数のカウンターに行方を阻まれ、中止に追い込まれた。デモの中止は、警察の説得を受けて断念に追い込まれた昨年6月に続く。川崎市では公的施設でヘイトスピーチを行うことを事前に規制するガイドライン(指針)が、今秋にも策定されることになっている。
「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」は、11時のデモ開始予定時刻の90分前から中原区平和公園「出会いの広場」に集結。ヘイトデモを待ち構えた。目の前の網島街道には、関東管区機動隊と神奈川県警が数十台の車輌で警備の壁をつくっていた。 市民の間には「昨年6月、法律が施行されたのに市民の力でヘイトスピーチを止められない」というもどかしさに満ちていた。「悪いのはどちらか。許されざる行為を取り締まれ」といういらだちの声が神奈川県警に向けられた。
10時30分、市民から「ヘイトスピーチやめろ」のかけ声が一斉にあがった。その声が最高潮に達した11時、デモ隊を乗せた東京からの観光バスが網島街道を挟んで一つ奥の路地に止まったようだった。
警察官が一斉に網島街道を新丸子方面に向けて駆け出し、市民も追いかけた。デモは届け出出発点から離れた場所で、始まった。デモ参加者の数はせいぜい20人ほど。プラカードを見ると「本邦外出身者は本邦内出身者へのヘイトをやめろ」などの文字が確認できた。これは法務省作成の啓発ポスターを改ざんしたもので、明らかな違反行為。
市民は道路上に座ったり、寝転んだりしてカウンター行動を展開した。警察にごぼう抜きにされて無理矢理歩道上に追いやられると、別の市民が加わった。なかには荷台に花を入れた自転車を引きながら、デモ隊の前に立ちはだかった若い女性の姿も見られた。
デモ隊は約300〜400メートルほど進んだだろうか。約8分後には完全に動きを止めた。それ以上は前に進めなかったのだ。デモ隊は警察官に誘導され、迎えの観光バスに乗り込んで立ち去った。
抗議行動を終えた市民は再び「出会いの広場」に集まり、総括集会を行った。民団からは神奈川本部の金利中団長をはじめ、川崎支部、南武支部の役職員らが参加した。
金団長は「一般の市民の力があったからこそ、彼らは逃げ出した。カウンターの勝利だ」と宣言した。
デモ隊の動きを追った民進党の有田芳生参議院議員は、今回のヘイト行動を「ピンポンダッシュ・デモ」と揶揄した。事前に予定していた出発地から少し離れた場所からヘイトデモを行い、数分でカウンターに行方を阻まれたからだ。
市民ネットワークは、この日カウンター行動に参加した市民は1000人近くにのぼったと報告した。
(2017.7.26 民団新聞)