スポーツ・文化・観光 一体で
韓国の文化体育観光部企画調整室政策企画官から、韓国文化院(東京・新宿区)の第12代院長にこのほど就任した金現煥さん(49)は1997年から2年間の日本留学を機に、韓日交流のために貢献したいと思ってきたと話す。自身の留学体験を踏まえ、「若いときに異なる国の文化を知る、経験することは大事」だと、若者向けをはじめ、新しいプログラムも開発したいと意欲を見せる。(インタビュー構成)
互いに理解し合う場を
韓国文化院は現在、世界で24カ国・28カ所ありますが、日本が1番古く(1979年5月10日開院)、実績もあります。私がここに来て1カ月ですが、悩みというのは、韓国について良く知っている人が多い日本で、これから何をするかということでした。
これまで韓国文化院が行ってきたプログラムにはそれぞれ理由があります。昔のプログラムでもいいものは、少しずつ改善して内容を深めたい。
次は、若者向けのプログラムをもっと開発することです。彼らが韓日交流の未来の主役になるし、若いときに韓国と日本の文化を理解すると、その後の関係が良くなると考えるからです。
私は97年から99年まで、政策研究大学院大学(東京)に留学しました。その前はいろいろな誤解もあったし、日本のイメージは良くなかった。でも留学して日本の人と友だちになったり、在日の人と会うなかで、それまでの考え方は間違っていたと思いました。両方が理解できたんです。
両国の良い面、悪い面を理解しない人が、何かを言って喧嘩をするのはおかしいと思います。
文化というのは自分で体験することなので、強制はできません。若い人が文化院のプログラムに参加して、自分の考えを広げる機会を提供したいのです。
さらに年配の方を対象にしたものもいろいろ企画できるんじゃないかと思います。韓国でも年代に合わせて開催するイベントがありますから。
今年は韓日国交正常化50周年、光復70周年の特別な年です。文化の力で両国の関係が良くなるようにすることが非常に大事だと思っています。02年の韓日共催ワールドカップサッカーのときは仲が良かったでしょう。そこに戻るのが私の願いです。
韓国文化院は芸術分野以外にも観光、スポーツなどの交流事業を支援しています。文化院のあるコリアセンターには、韓国観光公社東京支社、韓国コンテンツ振興院日本事務所など6つの機関が入っているのでシナジー効果を生むことができます。
18年に開かれる平昌冬季五輪はスポーツ祭典であり、観光交流を広げる場でもあります。その観光の中に文化を入れてスポーツ、観光、文化が一体になればと考えています。
今年の韓国文化院の事業はもう決まっています。私は一つひとつ経験しながら、来年の事業を準備しようと職員たちに声をかけました。
韓日関係は今、本当に大事な時期です。このタイミングで計画を立てて来年、実施しなければいけません。
年末から準備をするのでは遅い。韓国の文化関係機関は10、11月頃から予算も含めて計画します。彼らが計画を立てるときに日本のプランはこういうのがあると頭に入っているようにしたいし、レベルを上げるためにも今から準備をしなければ。
それがどれくらい出来るかは分かりませんが、私が今言えるのは一生懸命頑張りますということです。
(2015.9.30 民団新聞)