創団70周年を来年に控え、大きく変化する在日同胞社会の状況に対応すべく、民団のさらなる組織改革を進めるための同胞有識者の意見収集の一環として、「在日同胞社会の変化と民団の進路」を主題とした「未来創造フォーラム」が22日、東京都内で開かれた。民団中央の呉公太団長、東京本部をはじめ関東地方協議会の幹部ら約160人が参加した。
呉団長はあいさつで「同胞社会は今大きく変わっている。変化に対応し、民団組織も大胆に改革を推進しなければならない」と強調、「今日は民団に批判的な人もパネリストとして迎えた。建設的な批判、提言に耳を傾けていきたい」と表明した。
柳興洙駐日大使は特別講演で「今年は韓日国交正常化50周年という節目の年だった。50年周年に際して大使館では多くの記念行事を行い、民団の皆さんの助けも受けた。両国関係は、慰安婦問題が残っているが、暗いトンネルの出口にきている」と述べ、「民団は同胞社会の中心であり、70年の成果に自負心を持ち、今後の進路について真摯な討論を期待する」と激励した。
パネルディスカッション(コーディネーター=林三鎬民団中央副団長)では、金雄基弘益大学助教授の問題提起に続き、金哲敏弁護士と徐正根山梨県立大学教授がそれぞれ意見を発表した。
金助教授は「多様な議論のない社会の衰退は必然。本国並みの民主主義を在日社会にも定着させるべきだ」と表明。民団に対して1,日本の保守陣営とのネットワークの構築2,人材の多様性確保・組織硬直化是正3,本国における在日に対する認識の悪さ・被差別的状況の是正‐などを提言。民団に、「これらの問題に取り組むだけの度量」を期待した。
金弁護士は「在日同胞『統合』の対象をはっきりさせなければ、論議が混乱、なりたたない。ダブル、帰化者もヘイトスピーチの対象となっており、同じ問題を抱えている。同じ悩みのある人々とは協力すべきだ。子どもたちに肯定感を与えてやることが重要だ」と主張した。
徐教授は「民団批判をするのは自分が民団団員だから。もっと良い組織になってほしいとの思いから批判する」と強調。「『統合』というのはあまりにも自明だから、『結合』を主張したい」と述べ、「在日社会のギャップ」として1,世代間2,イデオオロギー3,ニューカマーとオールドカマーの三つをあげ、「『結合』(「統合」)のためには民団が風通しを良くしてほしい」と提言した。
(2015.12.23 民団新聞)