掲載日 : [2016-01-27] 照会数 : 6831
在外投票権ぜひ行使を…第20代国会議員選挙
[ 民団中央本部・東京本部合同新年会でも選挙管理委員会が在外選挙人登録申請・国外不在者申告案内キャンペーン ] [ 各地の民団支部では郵便やインターネットでの在外選挙人登録申請や国外不在者申請のサポートを行っている(神奈川・川崎支部で) ]
選挙人登録・不在者申告急ごう(2月13日締切)
韓国の第20代国会議員選挙への投票参加のための在外選挙人登録申請および国外不在者申告の締め切り(2月13日)が迫っている。対象者は、満19歳以上(1997年4月14日以前の出生者)の韓国国民。国会議員在外選挙は、2012年4月の第19代国会議員選挙に次いで2回目。公職選挙法の改正により、今回からは管轄公館(大使館、総領事館)直接訪問のほかに、インターネット、電子郵便および郵便での登録申請・申告も可能となった。一人でも多くの在日同胞が、国政への関心をさらに高め、貴重な国政選挙権を行使するための選挙人登録を速やかに行うことが期待されている。
なお、昨年末の公職選挙法一部改正により、第18代大統領選挙(12年12月)の在外選挙人名簿に登載されている在外選挙人は、今度の国会議員選挙に際して登録申請をしなくても、名簿に登載され、投票が可能である。ただし、その後に国内に住民登録を開設したり、国内居所申告をした人は、今回の選挙からは在外選挙人名簿ではなく、国内居住地の選挙人名簿に登載される。このため、国内居住地ではなく日本などの在外公館(または代替施設)で投票するには、国外不在者申告が必要だ。
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「選挙人」は政党に1票
韓国の国会議員選挙制度は、「小選挙区比例代表並立制」。地域区は1選挙区から1人の代表を選出する小選挙区制で、比例代表は全国1区で政党を選択する。有権者は地域区では候補者に、比例代表では政党に、それぞれ投票する2票制を採用。
在外選挙人は、永住権者など、住民登録と国内居所が申告されていない19歳以上の国民。在外選挙人登録申請を行うことで、政党への投票となる比例代表国会議員選挙に投票することができる。
国外不在者は、住民登録や国内居所申告がされている19歳以上の国民で、外国で投票しようとする人。たとえば企業・商社の駐在員、留学生、旅行者など。投票するには国外不在者申告が必要。
管轄公館での申請・申告受付時間は午前9時から午後5時まで(土・日・公休日は休館)。ただし最終日の2月13日(土)は開館して受け付ける。インターネットでのオンライン提出(中央選挙管理委員会のホームページhttp://ok.nec.go.krマタハ//ova.nec.go.kr)や電子メール(ovjapan@mofa.go.kr)と管轄公館への郵送は常時受け付け。
なお、投票は3月30日から4月4日までの6日間に管轄公館で設置する各地の投票所で行う。在外選挙投票用紙は国内投票(4月13日)終了後に同時開票される。
民主政治においては、国民が選挙(投票)を通じて自分たちの代表者を選出、議会に送り、間接的に自分の意見や利益を政策に反映させるという手続きが制度的に保障されている。
韓国をはじめとする自由民主主義諸国は議会主義による間接民主主義(代議制民主主義)をとっており、国民の最も基本的な政治参加は国民の代表者を選出する自由・普通・平等・秘密選挙での投票参加となっている。
国民の参政権は、選挙権に限られないが、選挙による政治参加は最も基本的なものであり、その意義は軽視されてはならない。
民主政治は民意に基づく政治である以上、有権者が積極的に政治に参加することによって有効に機能する。「明日の天気は変えられないが、明日の政治は変えられる」=民主制は選挙を基礎にしており、一票の積み重ねで政治を動かすことも可能だ。
選挙の時に棄権するのは、債権を持っていても請求しないのと同じく、権利の上に眠る行為だとされる。選挙は投票した人だけがカウントされ、候補者や政党、さらに今の政治について言いたいことがある人の意見も、投票に行かなかったら、まったく反映されない。
韓国の国政および北韓の動向に、これまで以上に強い関心をもつと同時に、韓国の政治発展と南北の平和安定・民主的統一推進のために、4月の第20代国会議員選挙に積極的に参加し、一票を投じることの意味には大きなものがある。
地域区区割りまだ確定せず
韓国では87年の民主化以降、第6共和国での国会議員選挙では「小選挙区比例代表並立制」が採用されている。小選挙区比例代表並立制とは、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方を並行して行う選挙制度。
比例代表部分は、政党に投じられた得票に応じて配分され、政党があらかじめ作成した候補者名簿の上位にあるものから当選となる。小選挙区と比例代表での重複立候補は認められていない。
獲得票が3%未満の政党、もしくは地域区の獲得議席が5議席未満の政党は比例代表における議席配分の対象外となる。
国会議員の任期は4年で、任期途中の解散総選挙はない。
ちなみに前回の第19代国会議員選挙の時の議員定数は300で、地域区246、比例代表54だった。
憲法裁判所は14年10月、人口が最も多い選挙区と最も少ない選挙区との間で1票の格差が3倍に達している国会議員選挙区について「憲法に合致しない」との決定を下し、第20代国会議員選挙に合わせて、昨年12月31日までに格差2倍を適用して選挙区の区割りをやり直すよう国会に要求した。だが、1月26日現在、国会で選挙区が画定されていない。
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在外投票、4年前から
憲法裁の転換で念願実現
在外国民が、韓国の国政選挙に対して投票できるようになったのは2012年4月の第19代国会議員選挙からだった。
韓国憲法は「すべての国民は法律が決めるところによって選挙権を持つ」(第24条)とうたっており、公職選挙法第15条は「19歳以上の国民は大統領および国会議員の選挙権がある」と規定している。
だが、公職選挙法は、選挙期間中国外に居住したり滞在する有権者が実際に選挙に参加できる方法を規定していなかったため、在外国民が選挙権を行使することができなかった。
このような公職選挙法に対して憲法裁判所は1999年、憲法訴願審判で北韓住民や総連系在日同胞の選挙介入の可能性、選挙の公正性確保や選挙技術上の困難、在外国民の納税・兵役義務未履行などを理由に合憲決定をした。
しかし、07年6月には憲法裁判所が、1,在外国民登録制度、国内居所申告制度や旅券所持の有無で北韓住民や総連系在日同胞の選挙権行使制限が可能2,選挙の公正性確保は国家の責任であり、それを選挙権者の責任にするのは妥当でない3,選挙技術上の難しさは選挙運動期間延長、投票用紙現地印刷などの代案可能4,選挙権行使は納税・兵役義務履行に対する反対給付でないことなどを理由に「憲法不合致」決定をした。
これを受けて、09年2月、国会は、韓国国籍を有する19歳以上の在外国民に大統領選挙と国会議員選挙の投票権を付与する公職選挙法法改正案(「在外選挙に関する特例」の章新設)を賛成多数で可決した。
これによって、在外国民の念願だった在外選挙制度が導入、実施されることになった。
前回の国会議員選挙時の在外選挙人登録の申請は、郵送ではできず、管轄公館を直接訪問して行う方法しか認められていなかった。しかし、その後の公職選挙法の改正により、今回からは、管轄公館訪問のほかに在外選挙管理官が指定する公館職員による公館外巡回受付、インターネット、電子郵便および郵便での登録申請も可能となった。
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「大切に使う」「もっと情報を」…初投票の若者たち
対日政策など見極めて
在日同胞にとって国会議員選挙の在外投票は第19代総選挙に続き今回が2回目だが、有権者の資格は選挙時19歳以上であり、当時18歳で現在22歳以下の人は初めての選挙参加となる。在外選挙人登録をすませた若者たちの声を聞いた。
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「父が前回投票する姿が焼き付いている。在日には選挙権は一生もらえないと思っていたので、すごいことだと思った。私も投票できるようになったので登録する。1票を大事にしたい」(19・女性、愛知)
「選挙権のあることは父から聞かされるまで知らなかった。韓国のことを勉強して投票したい。1票をきちんと行使できるよう、韓国の選挙制度や政党についての情報を民団新聞で積極的に提供してほしい」(19・女性、宮城)
「選挙権については父母から聞いた。初めての1票を大事に行使したい。韓国には年に1回は訪問している。やはり韓日関係が重要だ。関係改善につながるような選挙公約の政党に投票する」(20・女性、埼玉)
「国政選挙権について最近まで知らなかった。韓国の政治についてはよくわからない。それでも投票したい。投票まで後2カ月余りあるので、この機会に韓国情報について関心をもっていくつもり」(20・男性、神奈川)
「大阪の同胞が中心となりようやく違憲訴訟を提起し、獲得した選挙権だと聞いている。一人でも多くがこの機会を大切にし、本国の政治に対して積極的に在日の立場から意思表示をすべきだ」(21・男性、大阪)
「本国の政治家・政党に、在日の関心事、権益擁護、地位向上問題にもっと真剣に対処するよう促すためにも必ず投票する」(21・男性、兵庫)
「貴重な1票だ。投票の基準として、韓日関係と北韓の核実験などで緊張の解けない南北関係についての各政党の公約はもとより、これまでの言動をチェックしていきたい」(22・男性、東京)
「選挙に参加してこそ国民だ。在日は、投票にいかなければ、本国の政治家らからますます無視される。特に日本との関係を重視して態度表明をしたいと思っている」(22・男性、大阪)
「前回の選挙の時より登録が容易になり、投票所も大使館管轄地域や大阪総領事館管轄地域などでは増やすという。登録および投票者を増やすことで、もっと参加しやすいよう制度が改善されるのではないか。友人にも登録・投票を勧める」(22・男性、大阪)
(2016.1.27 民団新聞)