掲載日 : [2016-02-24] 照会数 : 9539
ヘイトスピーチ根絶へ法務局と意見交換…民団人権擁護委
[ ヘイトスピーチ根絶への取り組みを求める李根委員長 ]
民団中央本部人権擁護委員会(李根委員長)は15日までに東京、大阪、名古屋、広島、仙台の各法務局を訪問し、ヘイトスピーチ(差別の煽動)の根絶に向けて意見を交換。管内における実態調査、独自の啓発広報活動などを要望した。これに対して人権擁護部でも誠実に対応し、しっかりした効果のある啓発活動を実施していくと答えた。3月4日は残る福岡法務局を訪問する。
実態調査、啓発を要望
法務省は公明党からの要望を受けてすでに被害実態調査に着手している。その内容は早ければ3月末までに明らかになりそうだ。人権擁護委員会の活動はこうした動きとも連動しており、各地方法務局に独自の取り組みを促す狙いがある。
仙台法務局での懇談は15日、公明党の真山祐一衆議院議員らの仲介で実現した。民団中央本部から李委員長と在日韓国人法曹フォーラムの李宇海副会長、孫成吉生活局長が参加。地元からは民団宮城の田炳樽団長と金政郁議長、さらに民団福島の銭相文事務局長らも意見を述べた。
応対した鈴木宣彦人権擁護部長はヘイトスピーチの現場を動画で確認しているだけに、「まったく不愉快なこと。できることは積極的にやっていく」と応じた。法務省人権擁護局からは、しっかりとした効果ある啓発活動を行い、ヘイトスピーチ被害者からの人権相談に関しては真摯に適切に対応するようにとの指示を受けていることも明らかにした。
懇談の席で李委員長は、学校教育のなかでいじめと同じくらいのウエイトを置いて取り組むよう求めた。なぜなら、大人以上に子どもたちが傷ついている実情があるからだ。実例を挙げたのは田団長。年に2、3回、チェサの席で顔を合わせる中学2年生の孫から、「韓国人、なにか悪いことしているのか」と聞かれ、言葉に詰まったと明かした。
田団長は、「ヘイトスピーチのなんたるかについてよく分かっていないのに、いじめの種に使われてしまう。子どもや孫たちが日本で誇りを持って生きていけるよう、法規制をしてほしい」と求めた。鈴木部長も「団長から実体験を聞けたのはよかった。これからもしっかり啓発活動に取り組んでいく」と約束した。
席上、李弁護士は、嫌韓排外主義を標榜する団体には公共の施設を貸し出すようなことはせず、県内から集会の場を封じてほしいと要請した。
このほかの各法務局も「特定の国や民族を排斥するような言動は社会に差別意識を植え付けることにつながる。啓発活動を持続的に行い、社会的な意識を高めていきたい」との意思表明があった。広島法務局では、「ヘイトスピーチ、許さない」とのポスターが足りず、独自に印刷・増刷して関係機関に配った。
(2016.2.24 民団新聞)