掲載日 : [18-07-06] 照会数 : 12543
関東大震災95周年企画展「描かれた朝鮮人虐殺と社会的弱者」
関東大震災から今年で95年を迎えるのを前に「描かれた朝鮮人虐殺と社会的弱者-記憶・記録・報道」と題した企画展示が東京・新宿の高麗博物館で始まった。
展示は震災を体験し、加害行為を直接、目撃した人たちによる絵図が中心。
虐殺の実相に正面から向き合い、当時の日本人の朝鮮観、差別意識などをあぶりだしている。
水彩画「関東大震災朝鮮人虐殺スケッチ」(国立歴史民俗博物館所蔵、縦21・9×横37・3㌢)は、河川敷で行われた残虐行為を「生中継」した。
日本刀を手に切りかかる自警団や銃剣を突き付ける軍隊、柵を乗り越えいままさに虐殺に加わろうとする群衆の姿も。
傍らに転がる5人の死体が無残。
河目悌二(挿絵画家、当時34歳)が描いたとされる。
河目は「この現実から目をそらしてはいけない。作者も含めてこの絵に登場するすべてに責任はあるだろう」と書き記している。
大震災は子供たちにも「最も怖かった思い出」として記憶されていた。
「芋畑に逃げ込む朝鮮人」(東京都慰霊堂保管)は、大勢の軍人や警官、民間人が芋畑に逃げ込む被害者を追い詰め、捕縛しようとする一瞬を描いた。
当時、本横小学校(墨田区)4年だった山崎厳の作品だ。
震災後、子どもたちの間で「地震ごっこ」「火事ごっこ」と併せて、民族的な偏見や差別をあおるような「鮮人ごっこ」「夜警ごっこ」が流行ったというのも当時の大人社会のありようを反映したものとみられる。
東京市の調査によれば「鮮人ごっこ」は小学校1、2年生で4番目、3、4年生で6番目、5、6年生で5番目といずれも高い人気だった。
展示資料は新旧パネルと関連図書など約50点。
関連企画として8月25日14~16時、新井勝紘館長(元専修大学教授)が
「虐殺を読み解く」と題して講演。
9月8日には金順子さんによる「鎮魂の舞」が予定されている。
参加費は入館料を含め1000~1500円。
企画展は12月2日(月・火曜日休館、12~17時)まで。
TEL:03・5272・3510。