民団は今年、創団65周年を迎える。来年には国会議員選挙と大統領選挙を控えており、在日同胞として初めて国政選挙に臨む。北韓の延坪島への無差別砲撃を目の当たりにしたいま、韓半島の平和確保からも目を離せない。様々な課題を抱えてわれわれはどのような気構えで今年1年に臨んだらいいのか。各地での新年会に参加した同胞に聞いた。
■□
創団65周年…民団のすそ野広げる
東京・柳時悦さん(民団北支部常任顧問) 民団という組織体を基盤にして幅広くいろんな立場の在日同胞が有機的につながっていく展開が望ましい。お金や時間がままならないため、ともすると民団から遠ざかりがちなサラリーマン層をいかに取り込むのか。これは65周年を機に民団のすそ野をさらに広げていくための課題と考える。
愛知・張永植さん(同韓商会長) 創団65周年を迎えるいま、ニューカマーなど多様な同胞に対応していかなければならない。
東京・金美仙さん(婦人会品川支部会長) 新たに韓国から来た人たちが、民団の歴史とともに歩んで来た在日の皆さんと、協力し助け合いしなければならない時期ではないかと思う。お互いに反目し合うのではなく、在日がいろいろなことを教え、また日本に来た韓国の人たちも、私たちが韓国で生活してきたものを新たに今の時代に合わせた環境に作りなおしていく。そこからまた、民団の活動の範囲も広がっていくと思う。
和歌山・崔博さん(民団和歌山本部常任顧問) さまざまなイベントを通じて、地域住民と交流していくことがますます不可欠。こうしたことで存在感をさらに高められる。民団は結束していくことが求められている。
愛知・李孔一さん(民団新西支部支団長) 住民のひとりであるという認識のもと、地域との交流をこれまで以上に強くしなければならない。そのための環境づくり、組織づくりが大事なのでは。民団が地域に溶け込むことで、その存在が認識されることになる。
神奈川・柳栄鉉さん(青年会中央本部副会長) 地方レベルでの青年会組織の再建が相次ぎ、「次は自分の地方でも」という声が聞こえてくるようになった。青年会の掲げた運動方針が少しずつ浸透している。ただし、青年会の力だけでは限界がある。ぜひ、一般団員の力を借りたい。青年会の活性化と民団の活性化は不可分だ。
■□
国政選挙権
団員の関心高めたい
鳥取・薛幸夫さん(民団鳥取本部団長) 昨年の模擬選挙は初めての体験だったので、問題点が多々浮き彫りになった。広報活動をしっかりしなければ、関心を持つ人は少ないだろう。また、他県まで出向いて投票するのは大変だ。近隣の民団事務所をなんとか活用できないだろうか。日本の住民として地方参政権もなんとか獲得したい。運動方法を変えるなど、これまでとは違う工夫が必要なのでは。
愛知・鄭博さん(民団愛知本部団長) 昨年実施された模擬選挙は自分自身、学生時代以来の投票経験で、本番が楽しみだ。地方からどうやって投票しにいくかが課題だろう。
大分・呉英義さん(民団大分本部常任顧問) 昨年は模擬選挙が実施されたが、在日同胞の場合、本国に対してどれほどの関心があるのか疑問。本国との絆について今一度整理すべきではないか。故郷に対する「心の掘り起こし」が大切な要素になっていくと思う。宝の持ち腐れにならないようにしなければならない。民団事務所で投票ができれば一番いいのだが。
東京・金景安さん(婦人会荒川支部会長) 12年から日本に住みながら投票できるのは本当にうれしいこと。本国に対して感謝している。ただ、皆さんが韓国の情勢問題を理解し、きちんとした議員を選んでくれるのか、また民団に対して協力して下さる方を選んで投票するかが大事だと思う。きちんと状況を見極めながら投票してほしい。
大阪・呂英華さん(呂英華韓国伝統芸術院院長) 韓国から日本に来てすでに33年。日本ばかりか、韓国でも選挙権を行使できないということで、いつも寂しい思いをしていました。在日韓国人でも韓国の国政選挙に参加できるようになったことがなによりうれしい。私に与えられたかけがえのない1票を有効に活かしていきたい。
■□
対北韓問題
挑発への警戒持続を
神奈川・姜圭さん(横浜支部支団長) 昨年、北韓は天安艦爆沈に続く延坪島無差別砲撃で緊張を激化させたが、こうしたことを絶対に繰り返させてはならない。平和確保のために北韓への批判をゆるめてはならない。
石川・卞宗植さん(民団石川本部団長) 韓国に対する北韓の軍事行動について、総連に抗議文を直接届けたりするが、総連の組織そのものが壊滅状態に等しく、支持する人は少ない。総連の幹部自身が「北はなにを考えてるのか理解に苦しむ」と述べるほどだ。
埼玉・景民杓さん(民団埼玉本部団長) 総連が北韓に対して是正を促すようにならないかぎり、組織対組織の対話はありえない。ただし、総連を離脱したかつての組織構成員に対しては、民団として例外なく温かく迎え入れていくべきだ。
(2011.1.12 民団新聞)