金正日生日の16日、東京と大阪で北韓の体制を糾弾し総連の民主化を求める集会と抗議デモが行われた。東京では韓国の有力な団体「国民行動本部」の徐貞甲本部長が文京区民センターで開かれたNGO6団体主催の市民集会に出席、対北風船ビラを通した両国のさらなる連帯を確認した。さらに、大阪では、在日脱北者人権連合と「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」が一緒になって総連大阪本部前に集まり、北送責任を認めて謝罪するよう求めた。
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「対北風船ビラ」韓日連帯を確認
国民運動本部長出席
「金正日の悪行を糾弾し北朝鮮人民に真実を伝える2・16日韓連帯集会」と銘打った東京での集会は、「対北風船ビラ」日本実行委員会が呼びかけた。
「国民運動本部」は昨年の韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件をきっかっけに、北韓住民に金正日体制の真実を伝え、生きる希望をビラに託して飛ばしている。昨年6月は2日間にわたって江原道鉄原から史上最大規模とされる約60万枚を飛ばした。
日本からも趣旨に賛同したNGOが実行委員会をつくり、風船飛ばしに加わった。日本側実行委は独自のビラを作り、日本人拉致被害者に関する情報の提供を呼びかけ、飢えに苦しみ、救援を求める北送同胞と日本人妻向けに救援団体の連絡先を知らせた。このビラを見て脱北に成功したという元在日同胞もいる。
集会で講演に立った徐本部長は、「天安艦撃沈や延坪島砲撃による無差別攻撃を行ってきた金正日政権の終焉のため、両国が力を合わせなければならない」と呼びかけると、会場から共感の拍手が起きた。
また、徐本部長に同行したジャーナリストの金成さん(国民行動本部理事)は、「嘘と暴力で住民を支配している北政権がいちばん恐れているのが真実であり事実。風船ビラは有効な手段の一つとなる。大事なのは闘うことだ。妥協したり、容認することを決して許してはならない」と強調した。
民団中央本部から韓在銀副団長らが出席。集会の冒頭、来賓を代表してあいさつを行った。
「対北風船ビラ」
巨大風船にくくりつけたポリ袋に金正日体制を批判するビラを詰め、北韓側に飛ばして散布するというもの。ポリ袋は時間の経過とともに裂ける仕組みになっている。韓国の北部から春先、南西の風に乗せて飛ばす。1個の風船が約6万枚のビラを運ぶ。風船1個飛ばすのにかかる経費は日本円で約1万円。民間からの寄付で実施している。天安撃沈事件から1周年にあたる3月にも大規模なビラ飛ばしが予定されている。
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総連大阪の前で北送の責任問う 元在日脱北者ら
【大阪】総連大阪本部会館前では、抗議デモの参加者が、「3代世襲決死反対」「地上の楽園がこんな姿」「日本の拉致被害者を返せ」などのプラカードを掲げ、気勢を上げた。
「守る会」を代表して参加した萩原遼さんが総連大阪本部の玄関前に立って呼び鈴を押すものの、応対はなかった。萩原さんは、「総連本部委員長は玄関に出てきて、北朝鮮で地獄の苦しみを味わった人たちの声を聞け」と訴えた。
抗議デモに参加した脱北者を代表、南新一さん(仮名)が、「金正日から金正恩への3代世襲に決死反対する」としたビラを読み上げた。同じく元在日同胞脱北者の高政美さんも「総連大阪本部は金正日に日本人拉致被害者を返してほしいと要求し、北送に加担した自分の罪を深く反省し謝罪してください」と呼びかけた。
一行はこの後、鶴橋駅前で道行く市民に抗議のビラを配った。
(2011.2.23 民団新聞)