韓国のテレビ・ラジオのアナウンサー言葉は、実に聞き取りにくい。超早口で澱みなくしゃべる《名人争い》でもしているのか。
韓国メディアの言葉そのものを約(つづ)める傾向も理解を妨げる。憲法裁判所を「憲裁」(ホンジェ)で済ませてしまわず、せめて、「憲法裁」(ホンポップジェ)と言ってもらいたい。社会の性急さの反映なのか、効果を「ヒョガ」ではなく「ヒョッカ」、ニュースを「ニッス」のように強めに発音する。
これでは標準語特有の温和な品格が失われてしまう。危機感を抱いたベテラン声優・崔屹さん(45年間、KBSに奉職)が最近、『韓国語を正しく話す辞典』を出版した。崔さんは、標準語で最も守られていないのは長音と短音の区別だという。
大韓民国の最初の大はテーと長めに発音するとのこと。レッドデヴィルの「テー〜ハンミングク」は理にかなっていたわけだ。二つの足トゥーバルがトゥバルと短めの発音では、サッカーも頭髪ですることになるとか。ヘディングが強力な武器とは言っても、やはり具合が悪かろう。韓国もハンーグクと言わないと、「寒国」になってしまうらしい。
母音数が少なく唇をさほど動かす必要のない日本語のアナウンサーでも、もう少しゆっくりしゃべっている。母音が多く唇を突き出したり真一文字にしたり、激しく変化させねばならない韓国語のアナウンサーがあの速さで正確に話すとなれば神業だろう。これは在日の未熟者のヒガミではないはずだ。
韓国語習得で苦労する人を助け、正しい韓国語を定着させるためにも、ニッスならぬニュースが貴重な教材となるよう、善処してもらいたい。(J)
(2011.3.8 民団新聞)