同胞1級建築士呼びかけ 専門業者150人
【兵庫】東日本大震災からの復旧・復興を妨げている倒壊家屋のがれき撤去に向け、NGO「国境なき災害支援隊」が発足した。5月から本格的な活動に入る。母体となったのは東日本大震災直後に在日2世の一級建築士、弘利さん(57、神戸市長田区)が神戸市の土木業者らに呼びかけて結成した「神戸瓦礫(がれき)撤去復興支援隊」。参加メンバーたちは、「16年前にいただいた支援の恩返し」と話している。
発起人の弘利さん(57、神戸市長田区)は、阪神淡路大震災で自宅が全焼。当時、全国の建築仲間から資材や道具の提供を受けたありがたさを忘れていない。業者や資機材が不足している今回の被災地と、支援の気持ちを持つ全国の業者らとの調整役になろうと、8日に同隊を発足させた。
兵庫県ばかりか福岡や山口、愛知、新潟、東京など、全国から学識経験者、建築士仲間や解体・産廃業者、工務店など約50業者150人が隊員として参加している。本部事務所は神戸市に置き、各県には事務局を置いていく。がれき撤去に必要な機材や機械は登録業者が提供し、不足分は海外からも募ることにしている。
当面の活動支援地域は宮城県の南三陸町・陸前高田市・石巻市、岩手県釜石市、福島県内と定めた。今月末から現地自治体と協議に入り、被災場所や状況を把握したうえ、自治体からの要請や指示に基づいて職人、業者、資機材などを被災地に近い隊員の会社を拠点にして送る。
具体的には地元業者と連携しながらのがれきの撤去と処理、個人家屋や店舗などの家財道具の片付け、移動運搬など。被災を免れた半壊程度の家屋については応急修理も行う。仮設住宅建設に必要な職人や技術者も派遣する。必要な人材は極力現地で採用し、雇用促進にも結びつけていく。活動期間は当面、「被災地だけの力で復興活動が可能となる時期まで」としている。
さんが同隊を発足させるきっかけとなったのは、被災地で目の当たりにした「がれきの山が延々と続く状況」だった。3月31日、宮城県南三陸町で豚汁の炊き出しをしようと、トラック3台に支援物資を満載して神戸から22時間かけ現地入り。漁網がビルの屋上に絡まり、数十㌧もの防波堤の残骸が内陸に流されている光景を見て、「何か1回だけ『してあげる』では意味がない」と感じた。
さんは阪神大震災のときは、被害を免れた重機でがれきの撤去や大量に出た廃棄物の処理などに奔走した。06年の新潟中越地震でも被災した旧山古志村から広報企画員の委嘱状を受け、臨時職員となって村の復興に尽くしてきた。「津波が加わった今回の地震は神戸とは状況が違うかもしれないが、自分たちには阪神のノウハウがある」と話している。
活動資金募る
活動資金は参加業者からの協賛金のほか、自治体からの助成金、さらに一般からも1口5000円の活動支援金を募る。受け付け口座は三井住友銀行板宿支店 普通4601307 NGO国境なき災害支援隊。
問い合わせは神戸市長田区の支援隊本部事務局(℡078・737・0151/FAX078・737・0152)。
(2011.4.27 民団新聞)