【福島】NGO「国境なき災害支援隊」(弘利代表、神戸市長田区)は20日までの1週間、東日本大震災で被災した福島県いわき市四倉支所に入り、倒壊家屋などのがれき撤去作業を行った。同支援隊を発足させて以来、これが初の本格的なボランテイア活動。広大で深刻な被災地の復興に向け小さな一歩を踏み出した。
滋賀から重機搬入
四倉支所には滋賀県長浜市で建設会社を営む支援隊メンバー、西村邦彦さんががれき撤去に欠かせないファイアーショベルと、油圧ショベル・バックホー、運搬車両ダンプ2台を持ち込み、自らボランティア志願した従業員5人とともに作業にあたった。作業員たちはいずれも、「困っているときはお互い様」「ちょっとでも被災者の皆さんのお役に立てれば」と口をそろえていた。
作業は倒壊家屋やブロック塀が道路や家への経路をふさいでいる14カ所で行われた。いずれも津波の被害ではなく、地震そのものの影響で路盤が液状化したり変形した場所ばかり。住民から直接要望を受ける区長(町内会長)の意向を優先して支所が最終的に決めた。
四倉支所の草野亘支所長は、「片付け作業のボランティアはゴールデンウイーク中にも殺到したが、できる部分とできない部分がある。重機、トラック付きのボランティアは非常にありがたい」と話す。地元の区長らも「仕事が早いし、きれい。ほんとうに助かります」と喜んでいた。
支援隊は当初、激甚地区の南三陸町、陸前高田市、石巻市、釜石市などを主な活動地域と定めてきた。これらの地域に比べれば四倉地区の被害は比較的小さい。被災直後の死者は21人、行方不明82人となっている。津波の直撃を受けた海沿いの住宅こそ、「解体撤去」「建物の解体撤去を承諾します」の張り紙が目立っていたが、内陸部は瓦の剥がれや納屋の倒壊、ブロック塀の崩壊程度。四倉支所も床上浸水で済んだ。
このため支援の手が行き届かず、「四倉にも目を向けてほしい」との声があがっていた。さんは、四倉地区に入ることに決めた。現地に入るためのステップとして神戸市内3校の小学生が被災地へのメッセージなどを書き込んだこいのぼりを四倉支所に届け、信頼関係を築いていった。
それでも、「ボランティアで災害復旧の手伝いをしたい」とのさんの申し入れがすぐに受け入れられたわけではない。「公費での撤去が始まる前の営業活動ではないのか」と警戒されたらしい。支所としても44の区長会に諮って最終的に受け入れた経緯がある。さんは、「今回のボランテイア活動で支所との信頼関係は日ごとに高まっている。これからも依頼があればおうかがいしたい」と話している。
シャワー設置も
支援活動の一環として避難所に併設するシャワーブースの設置も計画されている。さん自ら代表を務める建築士グループ「リフォームシステム21」が推進役を担う。
シャワーブースはワンユニット9平方㍍。電力不足が懸念されるなか、熱源は太陽熱、素材は地場産の杉、檜の間伐材を利用する。製作・施行は地元の被災地で行い、現地の雇用に結びつけていく。太陽熱装置、器具などはメーカーに賛助を要請する。
さんは、「暑い夏の到来を前に、避難所での衛生状態が悪化するのではと心配している。仮設住宅入居までのストレスを少しでも緩和してあげたい」と話している。
支援隊では活動資金捻出のため、協賛者を求めている。カンパは1口5000円。宛先は三井住友銀行板宿支店 普通4602404「NGO国境なき災害支援隊」。
(2011.5.25 民団新聞)