改定入管法に基づき、7月9日から新たな在留管理制度が施行される。外国人登録制度はなくなり、非正規滞在者を除くすべての外国人が住民登録の対象になる。この結果、これまでの各種手続きも大きく変更されることになった。特別永住者について主な制度改正の概要をまとめた。
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特別永住者 「提示義務」違反に罰則
特別永住者には住民票にあたるICチップ付カード「特別永住者証明書」が国から交付される。記載事項は写真(16歳以上)、番号、住所、氏名、生年月日、性別、国籍など。「仮住民票」は5月連休明けにも国から市区町村経由で届く。
旧外登証は経過措置により、改定法の施行日以降も旧外登証に記載された有効期限までは「特別永住者証明書」として扱われる。「特別永住者証明書」は旧外登証の有効期限までに最寄りの市区町村で切替申請すれば交付される。
「特別永住者証明書」の常時携帯義務こそなくなるが、「提示義務」は残った。求められたときは保管場所まで同行するなどして提示しなければならない。また、有効期間があり、16歳以上は各種申請・届出後7回目の誕生日までに、16歳未満については16歳の誕生日までに各市区町村の窓口での更新申請が必要。
罰則として、提示義務違反、および更新遅延のときは、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が規定されている。
みなし再入国許可
特別永住者証明書を所持する韓国籍者は、出国後2年以内に再入国する場合、原則として再入国許可を受ける必要がなくなる。ただし、2年の有効期間を海外で延長することはできない。出国後2年以内に再入国しないと、特別永住者の身分を失う。これまでどおり、再入国許可を受けてから出国するときは、有効期限の上限が「4年」から「6年」に延長される。
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中長期在留者 在留資格取消や退去強制事由も
制度周知へ戸別訪問 東京都杉並区
一般永住者をはじめとする中長期在留者には「在留カード」が交付される。在留期間の最長は3年から5年となり、1年以内の「みなし再入国許可制度」も導入される。ただし、各種の罰則があり、在留資格の取り消しや退去強制の事由も設けられている。全国の自治体は多様なチャンネルを駆使して、外国籍住民に制度改正の内容を広報している。
最も多いのが自治体の広報誌やホームページに掲載するという事例。なかには、DVD放映(東京都新宿区)、専用コールセンターの設置(大阪市)、地元多言語FM放送での広報(福岡市)なども。本人への直接通知を行うという自治体も少なからず見られた。
東京都杉並区は昨年12月16日に広報のチラシを郵送したほか、「“待ち“より“攻め“」とばかり、1月から3月まで2カ月間かけて戸別訪問も行った。主な対象としたのは、在留カードの対象となる中長期在留者7000人。このなかには区内に居住して1,2年と日が浅く、日本語の理解も十分でないと思われる区民が多い。
不在のため何回も足を運んだケースもあり、期間中の延べ訪問件数は1万6000件にのぼったという。周知できたのは全体の約20%と、決して多くはない。だが、不在時にも「不在通知」を置いて注意を喚起した。
同区民生活部区民課は「区の立場は区民か否かだけ。納税者であればサービスを提供すべきお客さんであり、戸別訪問も当然のこと」と話す。
「丁寧な説明」には感謝の言葉が返ってきた。不在通知を見た外国籍住民からは、戸別訪問の日程調整に関する問い合わせが目立ったという。
(2012.3.28 民団新聞)