韓国文化発進基地に
「第2の故郷」に恩返し
【栃木】宇都宮市内にある自宅を開放。1階をテコンド道場、3階は韓国語教室とした。玄関には「韓日親善交流の場―栃コリア」の看板を掲げている。ここは韓相榮さん(45、民団栃木本部事務局長)が夫人の鄭仁淑さん(40)と運営している韓国文化の発信基地でもある。
道場はテコンド3段の資格を持つ韓さんが08年に開設した。韓さんにとってテコンドは「趣味」だけに、指導できるのは週2回、夜間に子どもたちを中心に10人ほどだけ。不足しがちな維持費は韓国の教員資格と日本語能力検定1級の資格を持つ鄭さんが、通訳や少人数を対象とした韓国語のグループレッスンで賄っている。
韓さんと鄭さんはともに宇都宮大学大学院修士課程で学んだ留学生。栃木県は「第2の故郷」と、恩返しのつもりで在学中から夫妻ともども内なる国際交流活動に熱心に取り組んできた。韓さんが小学校や村役場で異文化コミュニケーションの講師として呼ばれると、鄭さんはお母さんたちを相手にキムチの漬け方を指導してきた。
当初、韓さんに与えられた時間は10〜15分ほどだったが、子どもたちの反応は思いのほかよく、いまでは1時間の授業時間すべてを任されるようになった。韓さんには子どもたちからの「キムチは毎日食べるの」「KARAに会ったことがあるか」といった好奇心いっぱいの質問が楽しくてならない。
わずかな講師謝礼は車のガソリン代で消えてしまうことが多いが、「やりがいがある」という。
2人はアルバイトと奨学金でやりくりしながら06年、ともに大学院を修了。韓国についてもっと知りたいという市民のために「栃コリア」を設立した。200本近い韓国ドラマのDVDを常備し、無料で貸し出している。
(2012.5.9 民団新聞)