連帯意識高まった 実力発揮を総力サポート
まずは、在日同胞のプライドを持って戦ってくれた選手一人ひとりに感謝したい。
ここ3年間、総合優勝から遠ざかっていることに対するプレッシャーは、自分なりにもあった。
選手たちの実力は正直、未知だった。しかし、5年前の蔚山大会での経験もあって、個々の技量はどの国の同胞にも負けていないことは知っている。優勝を意識しすぎることなく、選手たちの力を信じることをまず自分自身の心に言い聞かせた。
そして、選手たちが日ごろ鍛えた技量をベストコンディションで発揮できる環境づくりに、総力を挙げたつもりだ。
結団式では「成せばなる、成さねばならぬ何事も」と自分の人生訓で呼びかけた。これに応えるかのように選手たちが魂を込めて戦いに臨んでくれた。これを見て、「優勝はいける」と確信した。
開幕早々、ゴルフ男女の3つ、ボウリング男子個人で1つの金メダル4個を獲得したことが選手団全体に大きな弾みをつけた。
連覇を果たしたゴルフ男子の河尊永選手、小さな体ながら渾身の力投でスコアを伸ばしたボウリングの張智成選手の奮戦ぶりに大きな勇気が沸いた。
これが追い風となり、スカッシュや卓球、テニスにも相乗効果が現れ、金メダルの量産につながったと思う。
また、3年間優勝から遠ざかっていた人気種目のサッカーの活躍も大きかった。予選ラウンド2試合で14得点と、他のチームに力の差を見せつけた。この若々しいパワーも選手団全体に伝わった。
今年から団体競技の結果が大きく左右するポイント制でなく、オリンピックと同じ金メダル総数による順位争いとなったが、在米同胞とは接戦だった。
勝因はなんと言っても、在日同胞選手団全体の連帯意識が強く、全種目でまんべんなくメダルを獲得できたことだ。
また、スポーツを通じた次世代育成を目的とする「スポーツ育成基金」は現在、助走段階ではあるが、今回の優勝で勢いがつくと思う。年一度の国体に集中するだけでなく、長期的ビジョンで選手の発掘・育成・強化を図るべきだ。
継続的に多くの在日同胞選手をサポートし、祖国の大舞台でプレーさせてあげたい。オリンピックなど国際大会での国家代表選手を輩出できれば、在日青少年に大きな夢と希望を与えられる。
私は2世だが、アボジの故郷、晋州は私にとって心のふるさとであり、大切にしたい。今回多くが参観した慶南道民会や晋州郷友会の会員らも同じ気持ちだと思う。
私ごとながら、その故郷での国体で総合優勝できたことは、感無量だ。開幕前の聖火リレーには長男がランナーとして参加した。今後も息子や孫に愛郷心を継承していきたい。
(2010.10.27 民団新聞)