掲載日 : [2010-11-03] 照会数 : 5755
<布帳馬車>軒の谷間から見える絶景
毎朝の通勤に欠かさず、目にするものがある。現在、急ピッチで建設中の「東京スカイツリー」だ。
わが家を出てすぐの幹線道路の前方に、大きな注射器のようにそびえ立っている。ここ1年間、日毎に背が伸びていくのを実感する。「武蔵」をイメージし、完成すれば634㍍で東京タワーの約2倍の高さを誇り、世界一高い電波塔となる。
北海道から東京に越してきたのが、5歳ぐらいだったかな?
そのとき、父に連れて行ってもらった初めての東京タワーはものすごく高く、天のように見上げた。
あれから半世紀近くを経て見る「新東京タワー」だが、なぜか、あのときとは異なった視角を覚えた。21世紀の今、超高層ビルが普通に感じるからか?
東京スカイツリーを取り囲んでいるのは浅草を中心に、隅田川を挟んだ台東区と墨田区の下町地区。レトロチックなご当地周辺には昔ながらの一杯飲み屋が軒を並べ、「もつ焼き」「牛すじ煮込み」など、庶民にとっての絶品が誇らしげに存在感をアピールしている。
夕暮れに、この絶品を肴に焼酎を味わい、ほろ酔いとなりながら、軒の谷間から覗く「成長真っ最中」のスカイツリーは何とも絶景だ。
もちろん、この周辺に超高層ビルは見当たらない。だからこそ、この偉容さが下町住民たちの誇りとなっていくことだろう。
ところで、今年1月に韓国の三星物産が6年をかけて建設した、ドバイの世界一高層ビル「ブルジュ・カリファ」は、高さ828㍍。超高もいいが、やはり、泥臭い生活感がないと魅力ないよね…。(Z)
(2010.11.3 民団新聞)