掲載日 : [2010-11-17] 照会数 : 6541
返還「儀軌」に自費購入分も 宮内庁所蔵の全167冊
「首相談話の範囲超える」
「朝鮮王朝儀軌」など日本の植民地統治時代に韓半島から搬出された貴重な図書1205点が、近く引き渡される。菅直人首相が8月、韓国強制併合100年を巡る談話の中で明らかにした「過去の歴史に対する痛切な反省」が、早くも具体的な形となったことを韓国側では歓迎している。
引き渡しで合意した図書は、朝鮮時代、国家の主要行事を文と絵で記録した朝鮮王朝儀軌167冊、朝鮮時代最後の法典である大典会通1冊、上古から旧韓国末に至るまでの文物制度を総網羅した増補文献備考99冊、奎章閣から搬出された図書938冊。だが、朝鮮王朝の帝王学講義である「経筵(けいえん)」、医学と慣習および軍の歴史を紹介した「帝室図書」、民間所蔵の文化財は対象に含まれなかった。
民間レベルで文化財返還を訴えてきた朝鮮王室儀軌還収委員会は「菅首相の談話に含まれた過去の歴史に対する痛切な反省に基づき皇居にあった文化財が本来の場所に戻ってくるもので、韓日関係の明らかな進展だ」と語った。
今回引き渡される朝鮮王朝儀軌167冊のうち1種4冊は宮内庁が購入したものだという。還収委事務総長のムヘン僧侶は、「総督府が搬出した文化財だけを対象に限定した菅首相の談話の範囲を超え、所蔵する儀軌をすべて返還することにしたのは、日本政府が朝鮮王室儀軌の持つ象徴的な意味を認めたことと評価できる」と述べた。
朝鮮王朝儀軌は1922年、「朝鮮総督府寄贈印」という印が押され、日本に渡った。ただし、日本側は「法的に決着した問題」だとして「返還」ではなく、「引き渡し」という表現を使った。
(2010.11.17 民団新聞)