掲載日 : [2010-11-17] 照会数 : 7930
<G20>世界の目韓国に 成功を国民も自負
[ 伝統儀仗隊が来賓の出迎え
] [ プレス会場は「韓国文化発信の場」
] [ ボランティア5829人
]
ソウルで開催されたG20サミット(主要20カ国・地域)首脳会議(11・12日)には、各国首脳や国連、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、国際労働機関(ILO)などの代表をはじめ、世界的な企業の最高経営責任者(CEO)、プレス関係者ら約1万人が集結した。この一大イベントに世界の目が注がれる半面で、韓国からさまざまなメッセージを発信することができた。市民たちの自発的参加と協力もあって成功裏に終えた今、国民は新たな自負心を感じているようだ。
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伝統儀仗隊が来賓の出迎え
歓迎レセプションと夕食会は国立中央博物館で開かれ、伝統儀仗隊が敬礼する中、各国首脳やファーストレディーら約140人が出席した。ホストの李明博大統領は金潤玉夫人とともに、首脳が入ってくるたびに両手をあげて「ウェルカム」を連発したり、抱擁する場面が何度もあった。
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厳選した文化財26点披露
〞韓国のほほ笑み〟と称される「半跏思惟像」、百済美術の精緻「金銅大香炉」、黄金色に輝く新羅の「皇南大塚の金冠」歓迎レセプションの会場となった国立中央博物館では、約25万点の所蔵品から、独創的な文化財20件26点を厳選し、さりげなく鑑賞できるよう配置した。
三星電子のタブレット型パソコン「ギャラクシー・タブ」を利用すれば、8カ国語で展示物に関する説明を聞けるようにした。
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首脳夫人ら、韓国美を堪能
金潤玉大統領夫人は12日、各国のファーストレディーらを、世界文化遺産のひとつである古宮・昌徳宮に案内した。
芙蓉池や王室図書館「奎章閣」などを巡った。このあと、韓国伝統楽器の伽 琴、奚琴などの合奏曲「霊山会相」を鑑賞した。
続いて、演慶堂では韓服デザイナー李ヨンヒさんによる韓服ファッションショーが行われ、朝鮮王朝の宮中衣装や一般韓服、金・銀箔を施したチョゴリ(上衣)など、多彩な韓服を紹介。各国首脳夫人らはカラフルで鮮やかな韓国の美を堪能した。
城北洞の韓国家具博物館では昼食をともにした。九折板や宮中神仙炉をはじめ、李大統領が日ごろよく食しているカタクチイワシ炒め、キムチ、揚げ昆布、メンタイコなどの総菜類も準備された。
伝統家屋の雰囲気に合った韓国料理のメニューに「ワンダフル」。
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各ホテル、秒きざみで料理提供
公式夕食会や昼食会の準備を担当したホテルは、最精鋭の調理チームを投入し、各国の首脳やファーストレディーたちの舌を満足させた。
国立中央博物館での歓迎夕食会を準備したロッテホテルは、国賓の夕食を手掛けた経験のある従業員130人(調理師50、サービス担当80)を投入した。各国の首脳に対しては、支配人クラスのベテラン社員が1対1でサービスを提供した。
「調理室と夕食会の会場が150㍍も離れているため、料理が冷めないよう配慮、秒単位で提供した。高級韓牛ステーキを薄いパイ生地で包んで焼いた料理には各首脳が満足げな反応を示したので、ホッとした」と語った。
ファーストレディーや国際機構代表の夫人たちの夕食会を引き受けた新羅ホテルでは、韓牛や済州産アワビ、天然松茸など、最高級の韓国産食材で作った料理でもてなした。ウェスティン朝鮮ホテルは社員約100人を動員し、江南区のCOEXでの首脳会議に出席した首脳たちの昼食会を担当。事前に100種類以上のメニューを準備する用意周到さ。料理はほとんど残らなかったという。
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プレス会場は「韓国文化発信の場」
総合展示場COEX(江南区三成洞)に設置されたプレスセンターには、韓国文化を紹介する場が随所に盛り込まれた。全国の文化遺産を紹介する3次元立体(3D)映像の上映をはじめ、作家翻訳版の無料配布、民族衣装韓服の試着体験など、じかに韓国に触れるようにした。
大型スクリーンには、▽雪岳山や漢拏山などの自然▽韓流▽躍動するソウル▽苦難の歴史と克服した精神の4部からなる映像が継続して流された。
入口には、「メディア瞻星台」(新羅時代の天文台)が設置され、伝統的な建築美学と現代技術の調和を象徴した。公演会場では、パフォーマンス「NANTA(ナンタ)」が上演され、首脳夫人らも観覧した。
韓国評価高く 海外メディア
仏ル・モンド紙は13日付で「韓国の奇跡」と題したソウル発の記事を掲載し、新興国では初めてのG20サミットを開催し、成功に導いた底力に賛辞を送った。
G20ソウル会議を契機に、韓国に注目する海外メディアの報道が相次いでいる。東アジアの新興国とのイメージが強い韓国が、グローバル経済問題をめぐる各国の利害を調整・仲裁するのを目のあたりにしながら、韓国を「再発見」したというのだ。
各紙が注目したのは、今回の会議を通して韓国が先進国と開発途上国をつなぐ懸け橋的役割をみごとにこなした点である。韓国は途上国支援問題を議題に取り上げ、会議を主導しながら具体的成果を引き出した。9分野にわたる行動計画「ソウル開発コンセンサス」の採択で、韓国型開発モデルをG20レベルで開発途上国に伝授しうる土台が準備された。
通貨危機を克服した体験を生かした国際通貨基金(IMF)改革、「ビジネスサミット」のスタートなど、韓国の創造性を称賛する外信がめだった。
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ボランティア5829人
会場のあちこちで、薄緑色のユニフォームを着た現場進行ボランティアが忙しそうに立ち動いた。書類審査と面接を経て100倍の競争をくぐりぬけたボランティアは年齢も職業もさまざまで、30分野に5829人。通訳者が3945人と、全体の3分の2を占めた。年齢別には、20代が全体の69%で、10代も20%を占めた。女性が74%に達した。
分野別には、市内110カ所の地下鉄駅や会場周辺での交通案内が2991人で最も多かった。市が運営するプレスツアーや無料ツアーなどを手助けする文化観光関連が1443人、ホテル案内が803人、会場案内が315人、行政支援が277人であった。
外信記者の車両移動を手伝った高校生の李ドンギュさん(18)は、「さまざまな言葉が飛び交うのが不思議でもあり、言葉を学びたいという欲も出てきた。この経験を生かし、世界を見る目を養いたい」と将来を語った。
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成熟した市民意識
会議期間中、自発的に協力するなど成熟した市民意識とともに、国際的大イベントを成功裏に終えた「韓国の底力」に自負心を感じるという声が多かった。
乗用車のナンバー末尾を偶数・奇数に分けて運行を禁止する「2部制」に積極的に協力したほか、会場のCOEX周辺道路が統制されたが、多くの市民がバスや地下鉄などの交通手段を利用し、交通の流れはおおむね順調だった。
主婦のピ・スンファさん(52)は「韓国の国家ブランドを全世界に広く知らしめるきっかけになった。地位が一段と高まるだろう」と期待した。
ソウル中心部で行われたG20反対集会には当初懸念する声もあったが、大きな衝突なく終わったことに対して、市民は警察と市民団体の双方に拍手を送った。ツイッターでは、先進的市民意識に対する称賛の書き込みが多く見られた。
(2010.11.17 民団新聞)