掲載日 : [2010-12-01] 照会数 : 9093
韓人資料館5周年「福岡特別展」 訴えかける展示物
[ 熱心に展示物に見入る観覧者 ]
在日韓人歴史資料館開設5周年「福岡特別展」
パネル130点、生活用具など500点
【福岡】在日韓人歴史資料館(姜徳相館長)は、開設5周年記念の「福岡特別展‐在日100年の歴史を後世へ」を福岡市博物館(早良区百道浜)で11月23日から今月5日の日程で開催中だ。整然と展示された130点のパネルと500点に及ぶ各種生活用具・史資料は、最高の設備によってその価値が最大限に引き出されている。訪れた人たちの多くが「展示物が目に飛び込んでくる。向こうから訴えかけてくる感じ」と異口同音に語った。
懐かしさと衝撃
「テレビドラマで韓国に関心を持った」という吉原光子さん(60代)は、「韓国語を学んだら、今度は悲しみの歴史を知った。ここにいると懐かしさとショックが重なる」との感想文を残してくれた。他の展示を見るついでに立ち寄ったという50代の日本人女性は、「人の道に反した日本の過去を謝罪したい思いだ。これからの友好のために、折りに触れ学び、歴史を伝えていきたい」と話した。
小田切直人さん(60代)は、「労働日報の旅費区分に、内地人105円、半島人40円とあるのは貴重な資料。富国強兵とアジア・朝鮮人差別に官民一体であったことがよく分かる」と専門的な指摘も。島袋努さん(30代)は、「今日だけで終わりにできません。韓人資料館のH・Pなどでもゆっくり閲覧するつもり」と語った。
目立ったのは年配の同胞女性たちだ。数人のグループで訪れては、親世代が使った生活用具の展示物を手にしながら「来てよかった。父母の苦労が偲ばれて涙が出る」「解放直後の世相が鮮明に浮かぶ。近くで、ゆっくり見ることができ、感謝感激です」といった言葉が続き、思い入れの強さをうかがわせた。
西日本新聞や全国紙の地域版が事前に紹介記事を載せたほか、初日の模様はRKB毎日放送で放映された。また、NHK福岡もトピックスで取り上げた。人出は順調だ。4日には記念セミナーを開催する。
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「歴史に学ぼう」 オープニング式典で
11月23日午前9時からのオープニングセレモニーには、民団福岡本部や各傘下団体の幹部、駐福岡総領事館のほか後援・協賛に名を連ねた各市民団体の代表ら約50人が参席した。
冒頭、歴史資料館の黄迎満副理事長(民団中央本部議長)は、「今年が韓国強制併合100年の年だけに、この特別展の意義は大きい。苦難の中にも誇りを持って生きてきた在日の証は、必ず多文化共生社会の実現に寄与するはず」とあいさつ。
民団福岡本部の呉政夫団長は「福岡展が開催でき大変光栄だ。1世、2世が頑張ってきたからこそ、今日の同胞社会がある。歴史に学んで愛族・愛団の精神を培って欲しい」と強調した。資料館の姜徳相館長は「手探りで開館したことがウソのように充実してきた。資料館にしかない史資料も増え、一級の博物館から貸し出し依頼が相次ぐほど。さらなる充実のために、皆さんの身の回りに埋もれた史資料を発掘していただきたい」と呼びかけた。
(2010.12.1 民団新聞)