広がる義捐金活動…花見を中止、「1円でも多く」
被災地に送る義捐金活動が、全国の民団本・支部を窓口に本格化している。事務室に募金箱が設置されたことを知って、義捐金を手に民団に駆けつける同胞の姿も。なかには、役員が率先して戸別訪問を計画している本部もある。開催中の地方委・大会では、「1円でも多く被災地に送ろう」が合い言葉になった。
民団東京本部管内21支部のうち、22日までに花見を中止、ないしは中止の方向と決めたのは江戸川、葛飾、大田、文京、板橋など少なくとも6支部になった。葛飾支部は、「今年から始めよう」と計画していた矢先だったという。なかには、花見の宴を「チャリティー募金の場にしたらいい」という声も上がったが、「たくさんの方々が亡くなっているのに、騒いでいる場合ではない」という声にかき消されたかっこうだ。
民団板橋支部によれば「花見は年配の参加者が多数楽しみにしている。でも、話したらみんな理解してくれた」という。民団大田支部は花見の開催を予定していた4月10日を「募金の日」と定め、役員が9時から15時まで民団事務所で待機することにした。このほか、民団京都本部でも管内の3支部で花見の中止を確認している。
民団静岡本部は18日から事務所内に募金箱を開設した。義捐金を投じながら、同時に被災地でのボランティアを志願する同胞もいた。民団和歌山本部では22日、金昭明同常任顧問(64)が、「これまでの震災とはわけが違う」と、100万円を持参して民団を訪れた。民団岡山本部によれば、同本部で韓国語を学ぶ日本人受講生までも「なにかしたいのだけれど」と相談に訪れている。
民団佐賀本部には「団員の被災者は大丈夫か。日本の報道を見ても、在日のことはわからない。遠くからも応援したい」という声が寄せられている。民団鳥取本部の薛幸夫団長は、「西日本にいるわれわれは被災地に行けないかわり、せめて義捐金集めでしっかり頑張るしかない」と話している。
すでに開催中の民団地方委・大会では、義捐金活動に全力をあげることを確認している。埼玉の景民杓団長は席上、「1円でも多く被災地に送ろう」と檄を飛ばした。同じく神奈川では李富鉄団長が真っ先に募金箱に義捐金を投じた。兵庫は27日開催の地方委員会に被災者救済のための建議案を出す準備をしている。
山口は地方委員会終了と同時に義捐金募金に回る。徐鶴奎同本部事務局長は、「テレビを見ていても、胸の詰まるような話ばかり。被災者のためになにかしたい。年齢制限さえなければ、私自身ボランティアに志願したいくらいだ。職員も被災地に行きたいと言っている」と話した。
(2011.3.25 民団新聞)