被災者支援中央対策本部の本部長である鄭進民団中央団長は23・24の両日、激甚被災地の福島、宮城、岩手を巡回し、各地対策本部の幹部を激励、1次支援金として各500万円を手渡した。また、激甚地区に入って被災同胞を慰問した。
鄭本部長は23日午前、福島本部で禹日生団長、呉海千議長、銭相文事務局長、成鍾泰常任顧問らと対面。禹団長は「地震も大変だが、福島は原発事故の影響があまりに大きい。団員の安否と避難対象地区団員の避難先の把握を急いでいる」と報告。
鄭本部長は「不便な生活を強いられている被災団員を少しでも助けたい。全力で支援する。遠慮なく申し出て欲しい」と激励した。福島の団員にとって、飲料水問題は深刻だ。中央対策本部はこの日、同本部に飲料水などの救援物資を届けた。
宮城本部には同日午後3時頃到着。李根団長は「中央対策本部の早期の被災地入りと救援活動を大変感謝する。おかげで宮城本部は救援体制づくりがスムーズにいった。安否不明な団員がまだおり、とても心が痛い。希望を持って県内すべての避難所を調査したい」と述べ、「各避難所での炊き出しや慰問などを展開していく」と報告した。
鄭進団長は「甚大な被害地区であり、大変心配している。宮城の救援活動が東北の核となる。中央は今後とも全面協力していく」と励ました。
この後、東松島地区の救援拠点となっている朴清浩氏(宮城韓商会長)宅を訪れ、被災状況や安否確認の報告をうけた。朴会長は「同地区の同胞が経営するパチンコ店の大半が津波の影響で営業不能だ。同胞経済のダメージが心配」と話した。
鄭進団長はこの後、激甚地区の石巻市や女川町を視察。避難所の勤労青少年センターで、被災者でありながら気丈にもボランティア活動に従事する申末子さん(67)を慰問し激励した。
同日夜に盛岡入りし翌24日朝、民団岩手の対策本部を訪れ、金盛義団長ら本部役員から被災同胞の状況報告を受け、金団長、姜英萬事務局長らと9時半に本部を出発、激甚被災地の釜石、大船渡の同胞宅などを慰問した。
釜石では、金基完顧問(元岩手団長)宅を慰問。少し足が不自由な金顧問は「今年は3・1節も顔を出せなかった。ともに救援活動をしたいがこんな体なので申し訳ない」と、鄭進団長の手を握った。
釜石の繁華街にあった焼肉店と自宅を津波で失った咸民さん(55)は「地震の時は高台にいた。店が心配ですぐに海岸へ駆けつけたが、みんなが叫びながら逃げてきたため引き返し、危機一髪で助かった」と、当時の恐怖を語った。鄭本部長は、壊滅したパチンコ店、飲食店などをめぐって経営者の団員を慰問し、最激甚地区の陸前高田市を視察して帰路につきながら、「復興が長期化することは頭ではよく分かっていた。だが、あまりに惨い現状に言葉がない。東日本の同胞社会にどれほどの影響が出るのか。腰をすえた支援策を考えたい」と語った。
(2011.3.25 民団新聞)