初動体制 力引き出す…長期バックアップ準備急ぐ
民団中央本部内に設置された「東日本大震災被災者支援民団中央対策本部」は、13日から被災地の各対策本部に支援要員を数陣にわたって送り込み、密接な連携を維持する一方、ガソリンを最優先的に供給して現地本部の活動力確保に努めた。
現地本部は震災直後から数日で、手持ちのガソリンを使い果たし、身動きがとれずにいた。通信手段が極めて限られていたうえに、移動手段を失ったことで、安否確認や救援物資の伝達は著しく滞った。
17日に入ってからは、通信手段が徐々に回復し、中央対策本部によるガソリンの供給が追いついたことで、激甚被災地区に居住する同胞を中心に、安否確認に全力投入が可能になった。同時に、急を要する団員宅へ救援物資の伝達も一気に進んだ。
13日に仙台入りした韓在銀、林三鎬の両中央副団長を含む先発隊は、ガソリンなど緊急物資の調達に関する情報が錯綜し、刻々悪化するなか、遠隔地の地方本部(新潟、長野など)に調達を依頼、山形本部を一時的な物資集積・供給基地とし、仙台市の民団宮城本部を激甚被災地救援の前進本部と位置づけた。
新潟県などから山形県へは、一般車両でも通行がさほど困難ではない。山形から仙台へは、山形自動車道の一部と一般国道を使ってピストン輸送ができる。仙台から盛岡(岩手本部)、郡山(福島本部)へは緊急指定車両であれば、ガソリン給油も優先され、速やかに往復することが可能だ。
山形韓国会館には、中央対策本部や地元の山形県内をはじめ長野、新潟などからの緊急物資が17日までに続々と到着、その日の内に仙台と郡山へ、盛岡には18日の午後一番には送り届けた。
24日から東北・磐越道の規制が解除され、ガソリンの需給もやや好転した。だが、この2週間の苦しい条件下での安否確認や救援活動の進展は、現地幹部や中央救援隊の奮闘はもちろん、初期対応の戦略・戦術の的確さによるところが大きい。
◆救援活動、新たな段階に
不明者は依然として残っており、安否確認は継続されるべき重点課業だ。しかし一方で、がむしゃらに動く段階から、長引く避難所・仮設住宅での生活に対するケア、また事業所の再開、あるいは建て直し努力に対する支援策を講究する段階に入ったのも事実だ。
中央対策本部は、現地の状況をつぶさに把握し、成り行きを想定することで、今後の被災者支援や復興への長丁場の課題に適切に対応する体制を整える考えだ。
(2011.3.25 民団新聞)
【写真】
避難所の名簿で同胞の安否を確認する岩手民団の申忍総務部長(中央)と李太炯岩手韓商会長(右端)=16日。岩手団員は全員無事が確認された