国政選挙へ重味増す
民団など海外各地の同胞団体幹部が数百人規模で集う海外韓民族代表者会議(北京=9〜11日)と世界韓人会長大会(ソウル=14〜17日)が相次いで開かれた。在外国民に国政参政権が付与されたことで、来年に国会議員選挙(4月)、大統領選挙(12月)を控えた韓国政界の海外同胞に注ぐ視線はいつになく熱い。海外側は居住国によって温度差があるものの、各韓人会は厳正中立を守り、国内の政治的対立を持ち込ませないとの姿勢を明確にした上で、投票率向上のための投票方式の簡便化と公正な選挙を実現するための制度的保証を求めることで一致した。
北京市内のホテルで開かれた海外韓民族代表者会議の第9回総会には、15カ国から390人が参集した。民団からは中央本部の鄭進団長をはじめ、黄迎満議長、金昌植監察委員長、金宰淑、丁海龍両常任顧問ら40余人が参加。会期中、李揆亨駐中国大使、韓国与野党の有力議員や中国側要人のほか、中国各界で活躍する朝鮮族の要人ら来賓も多数臨席した。
今総会を主管する大会長は、在中国韓人会の鄭暁権会長。鄭中央団長と在米韓人会連合会の南文基会長が共同議長として総会をリードした。また、韓国人留学生のボランティア22人が円滑な運営に大きな役割を果たした。
鄭共同議長は開会辞で、「東日本大震災に際して各国韓人会から寄せられた義捐金と慰労の言葉に感謝する」と述べ、海外韓人の連帯強化の必要性を強調するとともに、来年からの在外国民選挙権行使に重大な責任があることを自覚し、韓国の発展と祖国平和統一にいっそう貢献しようと呼びかけた。
最終日には①韓人会のネットワーク強化を通じ、韓国と居住国間の懸け橋的役割を担う②在外国民選挙に際し、公正で模範的な選挙風土造成に全力を尽くす③全国民とともに韓半島の非核化と恒久的な平和の確立に積極努力する、などの決議文を採択した。
総会では、3月に死去した名誉議長・朴炳憲民団常任顧問、東日本大震災で犠牲になった方々への黙祷も捧げられた。また、名誉議長に辛容祥民団常任顧問が推戴された。次期総会は来年、ソウルで開催される。
在外投票…制度的補完求む
2011世界韓人会長大会は、ソウル市内のホテルに80カ国から380余人を集めての開催。民団からは鄭進団長ら中央本部の3機関長、地方団長ら約50人が参加した。
大会を主催する在外同胞財団の権寧建理事長は開会辞で「海外同胞史は約150年に及ぶ。苦難を克服する過程を経て、在外同胞の役割は世界のどの国でも高く評価されている。在外同胞と母国は一体だ」と強調。各界から多数の来賓が激励に駆けつけた。
会期中、主要政党の議員らから在外同胞関連の政策について説明があり、統一問題の専門家から南北関係の現状と展望、前国務総理で、大企業と中小企業の共生を目指す同伴成長委員会の鄭雲燦委員長から「韓国の過去と今日、そして未来のための選択」と題した講演などがあった。
また、「21世紀ネットワーク社会の在外同胞社会の未来像」を統一テーマに討議を重ね、16日に決議文を採択した。
民団は歪曲歴史教科書、総連など従北勢力のプロパガンダによって、韓国の正統性が脅かされている日本の特殊性を説明し、その克服努力と合わせて、在外国民の国政参政権が公正に行使されるよう、反韓敵性団体には強力に対処する方針を表明。会場からは支持・賛同の声が上がった。
決議文では、在外国民投票がより多くが参加するなか公正に行えるよう制度的な補完を求め、次世代育成と在外国民保護のための法整備を強く促した。また、東日本大震災で見せた在日同胞の成熟した姿に敬意を表し、日本で定住外国人の地方参政権が実現するよう、政府の支援を求めた。
両機構の沿革
海外韓民族代表者会議
世界各国に居住する同胞組織の民間レベルでの糾合体。民団が提唱し、在米韓人連合会との主導によって1987年、東京で結成。趣旨として①海外韓民族の力量を結集し、その求心体となる②全世界で韓民族の地位向上を図る③自らの力量強化を通じて大韓民国の繁栄と、各居住国の経済発展に寄与する、を掲げている。総会はこれまで東京、ワシントン、ソウルでほぼ隔年で開催してきた。今総会が9回目。中国開催は初めて。
世界韓人会長大会
在外韓国人社会をサポートするため、外交通商部傘下の専門機関として1997年に設立された在外同胞財団が主催。同財団設立には、韓国の国力伸張にともない、在外同胞の母国に対する期待・要求が大きくなったこと、政府もまた世界化政策と関連、在外同胞の力量を国家発展に結びつける必要性があると判断したことが背景にある。2000年以来、年1回開催されており、今年は12回目。
(2011.6.22 民団新聞)