日本の留保に懸念
国民年金・慰安婦にも対応を
人種差別撤廃条約の順守状況を監視する国連人種差別撤廃委員会が8月29日に公表した対日審査「最終見解」は、前回(2010年)に比べ、ヘイトスピーチの記述が大幅に増加。ヘイトスピーチの法規制は「表現の自由」と相いれないものではないと強調している。
最終見解は、「4条(a)(b)項の留保の撤回あるいはその範囲の縮減を求めた委員会の勧告に関して締約国(日本)が述べた見解および理由に留意するものの、締約国がその留保を維持するという決定を遺憾に思う。人種差別思想の流布や表明が刑法上の名誉毀損罪および他の犯罪を構成しうることに留意しつつも、委員会は、締約国の法制が4条のすべての規定を十分遵守していないことを懸念する」と表明。
日本政府に対して、4条(a)(b)項の留保の撤回を検討することを促すとともに、4条の規定を実施する目的で、法律、特に刑法を改正するための適切な手段を講じるよう求めた。
さらに「締約国における、外国人やマイノリティー、とりわけコリアンに対する人種主義的デモや集会を組織する右翼運動もしくは右翼集団による切迫した暴力への煽動を含むヘイトスピーチのまん延の報告」「公人や政治家によるヘイトスピーチや憎悪の煽動となる発言の報告」「集会の場やインターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチの広がりと人種主義的暴力や憎悪の煽動」、「そのような行為が必ずしも適切に捜査や起訴されていないこと」に懸念を明らかにした。
委員会は、「人種主義的ヘイトスピーチおよびヘイトクライムからの防御の必要のある被害をうけやすい集団の権利を守ることの重要性を思い起こすよう」促し、1,憎悪および人種主義の表明並びに集会における人種主義的暴力と憎悪に断固として取り組むこと2,インターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチと闘うための適切な手段を取ること3,そうした行動に責任のある民間の個人並びに団体を捜査し、必要な場合は起訴すること4,ヘイトスピーチおよび憎悪扇動を流布する公人および政治家に対する適切な制裁を追求すること5,人種主義的ヘイトスピーチの根本的原因に取り組み、人種差別につながる偏見と闘い、異なる国籍、人種あるいは民族の諸集団の間での理解、寛容そして友好を促進するために、教育、文化そして情報の方策を強化することを勧告した。
委員会はまた、国民年金制度について「1952年に日本国籍を喪失したコリアンを含む多くの市民でない者が、国民年金制度のもとで排除され、年金受給資格を得られないままとなっていること」と「国籍条項のために82年1月1日以前に年金受給資格を喪失した市民でない者および同日時点で20歳以上であったその他障害のある市民でない者についても、障害基礎年金受給から排除されたままである」ことに懸念を表明した。
「年齢要件によって国民年金制度から排除されたままにある市民でない者、特にコリアンが、国民年金制度における受給資格を得られるための措置を講じること」および「現時点で受給資格のない市民でない者が障害基礎年金の適用を受けられるよう法を改正すること」を勧告している。
「慰安婦」問題についても、権利侵害に関して調査し、「真摯な謝罪表明と適切な賠償」を含む包括的な解決を目指し、慰安婦への中傷や問題を否定する試みを非難するよう求めた。
最終見解はまた、日本政府に対して、教育機会の提供に差別がないよう「朝鮮学校への補助金支給を再開するか、もしくは維持する」よう地方自治体に勧めることを促している。
(2014.9.10 民団新聞)