遺言書が相続人救う…戸籍整理しないと大損に
何の財産的な価値がないと思われていた先祖代々のお墓や山が大金を生み出すことが韓国ではたまにあります。在日に関していえば、道路を急激に整備した済州道の出身者に多く見られます。道路用地としての収容で補償金が出るからです。
親族らと共同の名義には要注意
済州で道路沿いの山に整然とお墓が並んでいるのをよく見かけます。ガイドさんに聞くと道路を作るために墓を移設したということでした。先祖のものは共同名義が多く、在日もお墓にお金を出しています。そこに道路が通ったのです。
そこで問題が起こりました。共同名義の在日の持ち分の補償金を死亡または行方不明として韓国内の兄弟達だけで分配してしまったのです。日本には妻も子供もいました。しかし、戸籍には載っていませんでしたから、形式上相続人は兄弟達だけになります。戸籍をうまく利用されました。
ある一世の韓国人医師が突然亡くなりました。奥さんは日本人です。それなりに資産もあり、夫は韓国へ何度も行っていたということでしたので、韓国内の相続財産を探そうと提案しましたが、断られました。「韓国の親族は結婚式にも参加してくれなかったし、自分も会ったことがない。これ以上関わりたくない」という理由からでした。
日本人妻が財産を探そうとすれば韓国の親族の協力が必要でしょう。それが難しければ、ご主人の財産がもし韓国にあるとしても放置されることになります。戸籍に婚姻記録がなければ、なお悲惨です。
相続は「爭続」だとよく言われています。借金の方をたくさん残した人の場合、恨まれることはありますが、「爭続」を防いだことだけはよいことをしたのかもしれません。3カ月以内に全員が相続放棄するでしょうから。
中途半端に財産があったり、子供達が借金を抱えていたりすると揉めることが多いです。
しかし、▽韓国内の相続財産を子供達が知らない▽戸籍を整理していないから手続きが滞る▽配偶者の日本人は韓国の財産を放置せざるを得ない▽財産があるかどうかもわからないなどの問題は、死ぬ前にいくらでも解決できたはずです。死んでも困らせることはやめましょう。
人は死にたくないという思いが強いものです。今、健康であれば自分はすぐに死ぬことはないと楽観視しています。だから、自分の死後の配偶者や子孫のことをあらかじめ考えて行動する人が非常に少ないのです。みな自分勝手に生きているのが普通でしょう。死期を感じている人とは、全く切迫感が違います。
戸籍が整理されていなくても、遺言が優先しますので、家族たちが困らないように簡単な遺言書を残しましょう。難しく考える必要はなく、日本方式で大丈夫です。
「全財産譲る」と自筆印で簡単に
1,遺言書2,今日の日付3,どこの預金を誰に相続させる4,どこの不動産を誰に相続させる5,その他財産は誰に相続させる6,相続は日本の法律を適用する7,署名これらを全部自筆で書いて印を押せば完成です。
一番簡単な例は、明細なしで『すべての財産を妻○○に相続させる』です。後は見つかりやすい所に置いておきましょう。せめて、銀行取引や不動産の場所だけでもメモで残せば、ご家族が財産を探し回らなくても済みます。日本人の奥さんも助かります。
連載の初めに休眠預金について述べました。自分の韓国預金が、勝手に無くなってしまうことなど夢にも思っていなかったでしょう。在日の財産は血のにじむような苦労から生まれました。在日が得た富は在日が享受する、親が残した財産は子供たちが引き継ぐ、これが自然なことではないでしょうか。
だから私は、在日が少しでも富と幸せを享受してほしいと願い、その相続財産調査の手助けをしています。(終わり)
(全国相続協会相続支援センター 在日韓国人相続相談室室長 鄭相憲)
(2014.10.22 民団新聞)