そば粉が隠し味に
韓国でも、春にチンダルレ(つつじ)が咲きます。そのチンダルレの花を丸い餅の上にのせて焼いた「ファジョン」(花煎)は韓餅で人気のある餅の1つですが、約350年前に書かれた料理本の『飲食知味方』(ウンシクチミバン)では「ファジョンポッ」という名前で呼ばれていました。
その意味はファ=花、ジョン=煎る、ポッ=作る方法となります。同書で紹介されているファジョンポッの作り方には、生地にそば粉を隠し味として入れ、さらに花を混ぜ合わせて練り込んでいます。
この方法は著者である張桂香(チャンゲヒャン)先生独自のもので、そば粉を入れることでもちっとした歯ごたえと、花のビタミンなどの栄養も摂取できるなど、相性の良い素材の組み合わせです。これは現代につながる薬膳料理とも言えるでしょう。
このコラムでは、強さと温和さを兼ね備えた道徳的な品性で「医大な母」と呼ばれた張桂香先生の人間的魅力と『飲食知味方』に込められた味や香り、真心もお届けしたいと思います。
◇材料(4人分)
チンダルレ(つつじの花)60g
(50gは生地に入れる、10gは装飾用)
もち米粉150g
そば粉15g
塩2g
お湯大さじ3
はちみつ適量
油適量
<つくり方>
1.もち米粉とそば粉に塩を入れ、ふるいにかけ、お湯を加えてこねる。
2.①に花を入れ、さらにこねる。
3.②の生地を12等分の同じ大きさに切り、丸く平にして、油をひいたフライパンにのせる。
4.③の両面を焼いて、皿に上げ花煎が冷めた後でつつじの花を上にのせて飾る。
5.皿にのせた花煎にはちみつをかけてできあがり。