掲載日 : [2019-05-22] 照会数 : 7141
趙善玉の「飲食知味方の世界」タシク
今も代表的な韓菓
『飲食知味方』に出てくる「タシク」というお菓子は、現代でも韓菓の代表的な一つです。茶文化は高麗時代まで普及していました。タシクはお茶うけとして食べるほか、祭祀を執り行う際の供え物として使われ、引き継がれています。
漢字では「茶食」と書きます。作り方は、茶食板(タシクバン)という木型に入れて型押ししますが、模様の中に「茶」という漢字一文字がほとんど入っています。漢字は、朝鮮王朝第4代王の世宗によってハングルが創製(1443年)されるまで使われていました。
本書には、タシクの材料は小麦粉一斗、はちみつ一升、ゴマ油8合とあり、かなりの量を作っていたようです。作り方は瓦を寝かせ土をのせる、その上に紙を敷き、タシクの生地をのばし、上から瓦をのせ、とろ火で焼くとあるので保存食にしたのでしょう。
瓦については『日本書紀』によると新羅などから硬質の土器を作る技術が持ち込まれたという記述があります。朝鮮朝時代に書かれた一冊の料理書が、日本の歴史へと繋がるのも面白いですね。
◇材料(4人分)
小麦粉1カップ100g、塩小さじ1/4、はちみつ40g、ゴマ油大さじ1と1/2、酒大さじ1、ゴマ油適当量
◇つくり方
1.小麦粉に塩を入れ、ふるいにかけてからこんがりと炒め、はちみつ、ゴマ油と酒を入れて練る。
2.練ったものを茶食板に入れて型をとる。
3.フライパンに油紙を敷いて②を入れて弱火で7分ほど焼く。
4.②の残りを焼くときは③のフライパンが熱くなっているので3~5分程焼いてできあがり。
5.焼きあがったら器に盛って出す。
(2019.05.22 民団新聞)