掲載日 : [2019-06-12] 照会数 : 7116
時のかがみ「KCON 若さが圧倒」桑畑優香(ライター・翻訳家)
[ 日韓合同グループIZ*ONEも登場。3日間で過去最大規模の8万8000人を動員した©CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved ] [ ©CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved ]
10代、20代の女子たち
日韓の垣根さらに低く
韓国文化の今が一堂に会すイベント、KCONが、5月17日から19日までの3日間、千葉の幕張メッセ国際展示場ホールで開催された。KCONとは、K‐CULTUREのコンベンションという意味。CJ ENM株式会社が2012年から世界各地で開催し、日本では5回目を迎えた。
毎年ずっとKCONを取材してきたが、今回は大きな転機に気づいた年だった。その一つが、コンベンションエリアの変化だ。まず、幕張メッセの会場に踏み入れて感じたのは、「広い!」「若い!」ということ。ビューティー、音楽、フード、ファッションなどをテーマにしたブースが並ぶスペースが、昨年の1・5倍に広がっていたのだ。
そこに集う人たちは10代と20代の女子が大半を占めている。彼女たちの視線の先にいるのは、日韓ガールズグループIZ*ONEや、力強いダンスで魅せるソロアーティストのチョンハだ。「KCON GIRLS」と題した特設エリアに設けられたステージに旬の女性アーティストたちが登壇。トレンドリーダーである彼女たちのお気に入りコスメやファッションなどについて、トークが繰り広げられていた。
また、アニメのキャラクターが描かれたコスメのブースにも女の子たちの行列が。気になって話を聞いてみると、実写のドラマをアニメ化したキャラクターとコラボレーションした商品とのことだった。韓国の超若手アイドルたちをキャスティングした、高校を舞台にしたウェブドラマで、地上派では放送していない。それにもかかわらず、「いつも見ています」と、群馬県から来た女子高生(16歳)はニッコリ。韓国のエンタメがネットや携帯電話を通じて広まり、それを日本の10代の子たちがいち早くキャッチしているのだ。
トレンドを求めてKCONに来るのは、ブースの出展者側も同様だ。
「昨年のKCONをきっかけに、新しい本が生まれました」と明かすのは、出版社クオンの金承福代表だ。「『K‐POPがきっかけで韓国語を話せるようになったけど、文学にはまだなじみがない』という声が多かった。そこで、日韓両国の言葉で気軽に読めるシリーズを作ったんです」と、「文学ショートショート」を手に取って見せた。
また、ハングル能力検定協会事務局の鄭誠根さんは、「ハングルで文章を書くことができる中高生が多いことに驚いた」と言う。会場の一角にあったアーティストへのメッセージを書く壁が、ハングルで埋め尽くされていたのだ。
「ハングル能力検定も若い世代にもっとアピールしていきたいと思っています」
KCONのもう一つの目玉であるコンサートでは、TWICEをはじめ、PENTAGON、公園少女、NATUREなど日本人を擁するグループも多数登場。日韓のメンバーがともに歌い、それに熱狂する若者たちを見ながら、日韓両国の文化の垣根がますます低くなりつつある現状を肌で感じた3日間だった。
(2019.06.12 民団新聞)