【兵庫】「野放し状態のヘイトスピーチ(憎悪表現)に一定の法規制を!」。民団兵庫本部(車得龍団長)が1日、神戸市中央区の神戸国際会館で「ヘイトスピーチ問題を考える兵庫の集い」を開いたところ、会場から国会議員の働きかけに期待する意見が多く寄せられた。意を強くした同本部では、今後もさまざまな形で市民の声を集約しながら、反ヘイトスピーチの声を高めていくことにしている。
有識者ら6人が討論
この日の「集い」は、ヘイトスピーチに「どう向き合うべきか、何ができるのか」を一緒になって考えようというもの。いわば民団側からの問題提起だった。青年会兵庫本部が主管。同胞と市民130人が参加した。
冒頭、あいさつで車団長は「ヘイトスピーチを絶対に許すことができない」との立場を鮮明にした。来賓として出席した原吉三県議(自民党)と吉田謙治神戸市議(公明党)も同調し、「情けない。日本人の責任で、これ以上広がらないように防いでいきたい」と述べた。
第1部は有識者ら6人による基調報告。顔ぶれは地元選出の国会議員、弁護士、ジャーナリスト、反差別の先頭に立つ在日同胞当事者と多彩だった。それぞれがヘイトスピーチに対する考え方を手短かに語った。
公明党の中野洋昌衆議院議員(兵庫8区)は、8月に自民党、9月には公明党で「ヘイトスピーチ対策プロジェクトチーム」が発足したと報告。「党内では各国の法規制状況を検討し、論点の整理を急いでいるところ。早急に結論を出して政府に申し入れていく。ヘイトスピーチが社会的に許されないという思いを持っていくことが大事だ。そのために努力する」と強調した。
第2部はパネルディスカッション。討議に先だって、会場からパネリストに対する質問と意見が回収された。パネルディスカッションの進行役としてすべてに目を通した民団兵庫本部の金相英事務局長によれば、書面で意見を寄せた8割が、「国会で早急に取り締まりのための法律をつくれ」と、中野議員に期待するものだった。
この結果を受けてのパネルディスカッションでは、「表現の自由」との兼ね合いのなかで包括的な「差別禁止法」をどうやってつくっていくのかに議論が集中した。ただし、「リベラル、人権派と呼ばれる弁護士ほど表現の自由が大切と考えるねじれ現象がある」とされるだけに、「時間がかかる可能性がある」との指摘も。
議論の結果、国に対してはこれからも差別禁止法を要望していく一方で、「自治体にも差別煽動団体に公共の会館を使わせない、道路の使用許可を与えないといった働きかけを強めていくべきだ」との考えで一致した。
この日の集いを終えて金事務局長は、「今日は第一歩。これからも神戸からさまざまな形で問題提起の声を発信していきたい」と意欲を新たにしていた。
(2014.11.5 民団新聞)