掲載日 : [22-11-18] 照会数 : 2013
日本で生活しながら韓国で事業展開した場合の納税は?
Q:日本で生活しながら韓国で事業展開した場合の納税は?
私は日本生まれの在日韓国人です。韓国で新たに事業を起こそうと思っています。将来的にこの事業が成功し、不動産や預金など様々な財産を韓国国内に有した場合、納税についてどうなりますか。また、収入については日本でも課税対象になるのでしょうか。ちなみに私は、日本に生活基盤をおいたまま、韓国で事業展開するつもりです。
A:日本に生活の本拠がある韓国籍の個人が韓国国内に財産を所有した場合の課税関係について絞ってお答えします。日本に生活基盤を置くため、韓国では非居住者になりますから韓国国内で生じた所得についてだけ納税義務が生じます。
財産が預金であれば利子が、株式であれば配当が、貸付用の不動産であればその家賃収入が生じます。利子や配当であれば、日本と同様に源泉徴収によって所得税などが差し引かれ手取金額が入金されるため、課税関係はここで完了します。
貸付用の不動産であれば賃貸収入から固定資産税や借入金の利子、減価償却費等の経費を差し引いた残りを所得金額として確定申告をし、納税をします。韓国での課税関係はこれで終わります。
一方、日本の所得税法は、日本の居住者(国籍問わず)に対しては、所得がどの国で発生しても、所得税を納めるよう規定しています。したがって、日本での所得と韓国の所得を合算して確定申告します。
これによって発生した所得税は、韓国で納付する税額の一部を差し引いて納付することができます。これを「外国税額控除」といいます。一つの所得について韓国と日本で二重に課税する不合理を解消する制度です。
外国税額控除で所得税から差し引くことができる外国税額は、申告手続きによる納税額確定日の属する年のものとされています。
ところが、日本の確定申告が原則2月16日から3月15日までなのに対して、韓国の確定申告は5月1日から5月31日までとなっています。このため、日本の申告時点では韓国での申告が済んでおらず、外国税額控除を受けることができなくなってしまいます。
この場合、日本の所得税法では、法律の取り扱いを定めた「通達」という文書で、実際に納付した年分の外国税額で外国税額控除を適用できます。