掲載日 : [23-02-01] 照会数 : 963
遺言書の作成について
Q:遺言書の作成について
私は日本に住んでいる韓国人ですが、日本で法的に有効な遺言書を作成することはできるのでしょうか。遺言に関する法律は日本と韓国のもので異なると思いますが、私はどちらの適用を受けるのでしょうか。また、そもそも遺言書というものの作成は、日本の家庭裁判所でできるのでしょうか。遺言書の作成方式について教えてください。
A:まず、私たちが住んでいる日本の法律ではどうなっているでしょうか。日本の「法の適用に関する通則法」の第37条1項によれば、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。」ものと規定されていますが、「遺言の方式」については、日本には「遺言の方式の準拠法に関する法律」という法律があって、これが適用されることになりますが、同法2条で当事者(遺言者)の本国法、住所地法などの法律によることができるものとされていて、在日韓国人の場合、日本の方式によって遺言をしてよいことになっています。
それでは韓国の法律ではどのように規定されているかと言うと、韓国の「国際私法」の第50条1項によれば、「遺言は遺言当時遺言者の本国法による。」と規定され、遺言の方式については、同条第3項で「・・・次の各号中のいずかれか一の方式による。」と規定され、以下の方式が認められています。
1. 遺言者が遺言当時または死亡当時国籍を有する国家の法
2. 遺言者の遺言当時または死亡当時の常居所地法
3. 遺言当時の行為地法
4. 不動産に関する遺言の方式についてはその不動産の所在地法
したがって、結局、在日韓国人の場合、遺言の成立や効力については韓国の法律によることになり、遺言の方式については、韓国法が定めた方式によることもできますが、日本の方式によることもできます。
以上により、在日韓国人の場合、形式的要件については日本法の要件を備えていればよいことになります。なお、「日本の家庭裁判所でできますか」という質問もありますが、日本では家庭裁判所で遺言書を作成するという方式はありません。日本での遺言書の普通方式としては、自ら遺言書を自筆で作成するか(自筆証書遺言)、公証役場で公証人に作成してもらうか(公正証書遺言)、もしくは秘密証書遺言という方式があり、その他に、死亡の危機に迫った人の遺言など特別の方式による遺言がいくつか決められています。