掲載日 : [23-06-05] 照会数 : 2838
相続と国外財産調書
Q:昨年、父母がなくなりその財産を相続する予定ですが、昨年12月31日の時点で、自分の保有する国外財産の合計額は約4000万円でした。相続を受ける国外財産価額はまだ確定されていませんが、5000万円を超えることが推定される場合、国外財産調書の提出義務はありますか?
A:国外財産調書制度は、最近のグローバル経済活動の増加により国外財産保有が増加する趨勢であるなか、国外関連課税の適正化が大変重要であるという観点から、国外財産保有者が、その保有する国外財産を申告するシステムで、2012年度税制改正により日本に導入され、2014年1月から施行されています。
具体的には、毎年12月31日時点での価額の合計額が5000万円を超える国外財産を保有する居住者(非永住者※を除く)は、その翌年6月30日(2022年分以前の調書については翌年3月15日)までに該当する国外財産の種類、数量および価額、その他必要な事項を記載した国外財産調書を所轄税務署長に提出することになっています(国外送金等調書法第5条第1項)。
さて、ご質問の件についてですが、相続開始の日の属する年(以下、相続開始年)分の国外財産調書に対しては、相続する国外財産を記載しないで提出することができます。この場合、相続開始年分の国外財産調書の提出義務については国外財産の価額の合計額から相続国外財産の価額を除外して判定します。
したがいまして、相続開始年(昨年)であれば、相続によって取得する予定である国外財産を除外して計算した国外財産価額の合計額が4000万円となり、国外財産調書の提出義務はありません。
ただし、相続開始年の翌年(今年)以後については、その年の12月31日に保有している国外財産の価額に相続財産の価額を含めて国外財産調書の提出義務の判定をしますので提出義務があることになります。
※居住者のうち、日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である個人。