「成人の日」の14日を前後して、在日同胞新成人の門出を祝う式典が各地で開かれている。85年の新国籍法施行と少子化が重なり、新成人の対象者が年々減少するなか、大阪では真新しいスーツと華やかなチマチョゴリで着飾った70人が、新たな仲間との出会いを求めて参加した。過疎地でも大勢の来賓に見守られながら、在日として生きる決意を新たにしていた。
民団東京本部(金龍濤団長)は13日、韓国中央会館で開催。40人余りの新成人が参加した。大半は大学生で、在日韓国学生会の愼昌弘さんらが学生会への参加を呼びかけた。新成人を代表して鄭季和さんが、新たな門出の決意を示した。第2部ではビールで乾杯。式典を主管した青年会の進行でアトラクションを楽しんだ。
民団神奈川本部(金利中団長)は12日、横浜市内の結婚式場で開催。新成人18人が参加した。民団と横浜総領事館、神奈川韓国教育院から記念品が贈られた。
青年会の鄭榮誠会長は「在日同士なかなか出会う機会がない。こういう場を大事にしてほしい」と激励した。
民団栃木本部(金一雄団長)は12日、宇都宮市内のホテルで開催した新年会に新成人4人とその家族を招いた。新年会には福田富一県知事も出席。国会議員や県・市会議員多数とともに新成人を激励した。新成人には民団のほか共催団体の婦人会、韓商、青商など6団体から記念品が贈られた。
民団宮城本部(李根団長)は13日、仙台市内での創団65周年記念式典に合わせて、同時開催した。式典は青年会が主管。安隆熙君と鄭京熙さんの2人に民団や婦人会、総領事館などから記念品が贈られた。
民団愛知本部(鄭博団長)は6日、名古屋市内のホテルで新成人24人の門出を祝福した。鄭団長から祝状、婦人会の徐美也子会長から記念品が贈られた。式典修了後は民団、韓商、経友会共催の「新春年賀交歓会」にも参加した。式典終了後は記念撮影とティーパーティーが行われ、新成人と父兄らは続いて開かれた民団、商工会議所、経友会合同の「愛知在日韓国人 2013 新春年賀交歓会」にも参加した。
民団大阪本部(鄭鉉権団長)が13日、大阪韓国人会館で開催した成人式(青年会・学生会主管)には新成人70人が参加した。鄭団長は「骨身惜しまず学び、働くことが成功の道」とはなむけの言葉を贈った。記念品としてPC周辺機器などが贈られた。
民団兵庫本部(車得龍団長)が13日、兵庫韓国文化教育院で開催した成人式には新成人14人が参加した。成人式を主管した青年会兵庫本部の金陽信会長が「青年会を通じて在日との出会いを楽しんでください」と激励した。新成人を代表して、白光孝さんが、誓いの言葉を述べた。
民団京都本部(王清一団長)の成人式は13日、民団会館で青年会(千義雄会長)が主管。民団と婦人会、韓商、青商などから多数がお祝いに駆けつけた。王団長が新成人11人の名前をそれぞれ読み上げ、「未来の同胞社会を担ってほしい」との願いを託しながら祝賀状を手渡した。
韓国旅行に招待
民団福岡本部(呉政夫団長)は新成人の参加者12人全員に韓国旅行をプレゼントし、「母国を肌で感じ取ってきて」と、はなむけの言葉を贈った。成人式は5日、福岡市内の八仙閣で開催。新成人を代表して宣佳長さんが答辞を朗読した。新成人は引き続き開催された民団主催の賀詞交換会にも参加し、多くの出席者から祝福を受けた。
民団佐賀本部(鄭清俊団長)は12日、同韓国会館に新成人2人を迎えた。2人とも一昨年の次世代育成母国研修に参加したことから、在日としての自我に目覚めるようになったという。鄭団長は、「民団はいつでもあなたたちのそばにあり、応援していることを忘れないでほしい」と声をかけ、お祝いに紅白の韓国餅などを贈った。
民団愛媛本部(朴鐘栄団長)は12日、愛媛韓国会館で新成人の門出を祝った。1人が出席。記念品としてハングルの姓名を彫り込んだ印鑑と螺鈿名刺入れを贈られた。
韓国留学もいいな 参加者の声
各地の成人式出席者に抱負を聞いてみた。
▽禹萌さん(栃木)「昨年の青年会母国研修で初めて同世代の仲間と交流し、大きな刺激を受けた。第18代韓国大統領選挙にあたっては在外選挙人登録も行い、インターネットで候補者の政策も調べた。近く韓国に留学したい」
▽任度睿さん(東京)「母と一緒に大統領選に投票し、韓国国民としての重みを痛感した。在外国民選挙権を今後も大切に行使していきたい」
▽河裕衣さん(東京)「(大統領選の手続きと投票は)思ったよりスムーズだった。成人の仲間入りを果たしたからにはもう甘えは許されないし、しっかりしなきゃ。韓国語も勉強していきたい」
▽金英里香さん(大阪市)「民族衣装を着ることができて嬉しい」
▽崔智絵さん(大阪市)「同胞の友だちをたくさんつくりたい」
▽朴彩花さん(大阪市)「インターネットのフェイスブックで成人式を知りました。同胞の友だちをつくりたい」
▽朱宇拓さん(大阪市)「小・中学生のときは民族研究会のクラブに参加していました。同胞の友だちができればと思って参加した」
▽朴温美さん(大阪市)「民族衣装で気兼ねなく参加できる成人式は、私たちにとってとても大切な場所。民団には感謝しています」
▽朴炯傅さん(堺市)「ここに来られた在日同胞の皆さんはどんなことを考えておられるのか、これからどうしていくのか。1人でも多くの人と話しあって、自分の将来につなげていきたい」
▽とよかわゆきさん(大阪市)「5年前に日本国籍を取りましたが、それでも韓国の行事に参加できるなんて、とても嬉しい。同胞の友だちをつくりたい」
▽梁莉沙さん(兵庫)「今年は韓国の大学に必ず合格し、韓日交流に役立つ仕事につきたい」
▽李悠希君(京都)「在日として社会に貢献できるたくましい成人になるようがんばりたい」
▽趙光熙さん(佐賀)「韓国と日本の狭間で悩んだ時期もあったが、日本と韓国の中間的な存在だと自分なりに結論を出してからは気が楽になった。今後はハングルを一生懸命勉強していきたい」
(2013.1.16 民団新聞)