生徒集めの苦労も今は昔
東京韓国学校(秋秉菊校長、新宿区)が「土曜学校」を開設してから今年で20周年を迎えた。20日の13年度開講式には5歳児から中学生まで389人が入学。5月11日から始まる4歳児を対象とした「幼児班」を加えれば400人を超すのは確実な勢いだ。スタート当初、生徒集めに苦労したという関係者は感慨深そうにこの日を迎えた。
東京韓国学校がオリニ土曜学校開設計画を打ち出したのは、日本の公立学校で5日制が拡大実施された93年度のこと。金晶圭校長(当時)が職員会議で、日本の学校に通う同胞子弟を対象とした民族教育の必要性を訴えたのが始まりだった。
当時、土曜学校という制度はまだ一般的ではなかった。生徒集めには民団東京本部の協力の下、ゼロから取り組んだ。放課後になると教職員有志が毎日、対象者家庭に電話を入れ、戸別訪問も行った。
開設準備に中心となって取り組んだ当時の高等部教頭の洪性豪さんは教員と共に家庭訪問した。「1軒1軒を訪ね“まず体験して”と呼びかけた。当時は土曜日も日曜日もなかった」。
同胞多住の足立区では地元の卒業生であり、民団足立支部の教育委員会副委員長を務めていた文京一さんが洪さんや教員のために自転車を用意し、水先案内人を務めた。
文さんは「子どもをぜひ行かせたいけど、足立から新宿まで遠いから」と悩む親のために、自営業用のボックス車を持ち出し、スクールバスとして運転も買って出た。
第1期の入学志願者は、66人だった。開講は予定していた10月9日(ハングルの日)には間に合わず、11月まで延びた。いざ開講しても、子どもたちの足が遠のけば、これまでの苦労は報われない。各担当教員にとっては毎日が「真剣勝負」だったという。
初等部教員の李和枝さんは、「土曜学校に休まず来てもらおうと、あの手この手。教材研究に没頭し、終わると子どもたちを自宅に招き、カレーライスを食べさせた」。李さんは来年3月が定年。「最後の思い出」にしようと、今年度も土曜学校の担任を志願したという。
高正姫さん(中高等部教頭)の専門は中高校生を対象とした美術。小・中学生には教えた経験がなかった。悩んだ末、韓服などの塗り絵を手作りし、子どもたちの興味をつなぎとめた。「4年半いろいろあったけれど、生涯忘れられない。いま考えたら、楽しかったことばかり」と笑顔を見せていた。
「幼児班」募集中
開校時4班でスタートした土曜学校は今年度、20班にふくれあがった。別途、4歳児を対象とした幼児班は5月11日まで申請を受け付けている。
(2013.4.24 民団新聞)