掲載日 : [2010-06-09] 照会数 : 7809
働く母親を支援 病児・病後児保育 在日3世の社会貢献
[ 代表理事の高亜希さん ]
NPO法人「ノーベル」代表 高亜希さん
【大阪】働く女性が出産後、子どもを育てながら仕事を続けることの困難さを思い知り、会社を辞めるというケースは多い。高亜希さん(30)もそんな女性を多く見てきた。「働く女性が子育てと仕事を両立できる社会環境をつくりたい」と今年の2月、大阪市中央区で病児保育・病後児保育の事業所、NPO法人「ノーベル」を立ち上げた。関西では初めてだ。
関西では初めて
病児・病後児保育は保育所や学校などに通園・通学している0〜8歳児が対象。発熱などのありふれた病気に罹患した際にその病児を預かり、専門的に保育する。
「ノーベル」は会員制。利用会員から連絡を受けると保育スタッフが自宅まで赴き、子どもの看病など世話にあたる。朝8時までに事務所で連絡を受ければ「100%対応」を打ち出し、働く母親の気持ちをつかんだ。当初は対象地域を中央区と西区の2区に限定していたが、「ぜひ、うちの地域でも」と引き合いが続きいまは北区、福島区、天王寺区、城東区へと広がっている。おいおい生野区も追加する予定だ。
大阪市生まれの3世。大学卒業後、大手旅行会社などで営業を経験した。20代も中ごろになると、「社会に役に立つ仕事をしたい。結局は日本で生まれ育ったので、自分の生まれ育った場所、大阪で社会に恩返しをしたい」と思うようになった。具体的になにをするべきなのか。その回答を探そうと韓国へ留学。
日本に戻ると、本格的に病児保育に取り組もうと決意した。日本企業で働いていたころ、家庭を持って働く女性が子どものために会社を休み、ついには退職に追い込まれざるをえない姿を見てきたからだ。東京で病児保育に取り組んでいたNPO「フローレンス」で修業。3カ月間無給で働き、1年間で経営ノウハウを身につけた頑張りや。
法人認可は09年11月のこと。高さん自ら代表理事に就任し、当面必要な資金は、行政からの助成金と、40人からの賛助金でまかなったという。
目標はサービス地域を大阪市内一円に拡大して会員を100人に増やすこと。高代表は「この1・2年が勝負の時です。私自身が結婚しても働き続けられる社会にしたい」と笑う。問合せはノーベル(℡06・7636・0170、
http://nponobel.jp)
(2010.6.9 民団新聞)