掲載日 : [2010-06-23] 照会数 : 3579
6・25「戦場の記録」写真展 日本新聞博物館
〞ノーモア戦争〟
国連軍カメラマン撮影200点
【神奈川】韓国戦争を当時の報道写真で振り返る企画展「戦場の記録」が、横浜市中区の日本新聞博物館で開催されている。国連軍に従軍したカメラマンが撮影した約3600点の「N.Y.デーリー・ニューズ写真コレクション」のなかから200点を厳選した。戦争勃発から休戦に至るまでの約3年間を体系的にたどる構成となっている。
北韓軍の侵略直後、これでもかと破壊されつくした廃墟の町に金日成とスターリンの肖像画が掲げられていた。わずかな家財を頭に乗せて戦火を逃れる避難民の姿。その目からはわずかな希望も伝わってこない。なかに父親と南へ急ぐ少女の写真があった。少女は下着一枚身に着けていなかった。手には食料らしき魚がしっかりと握られている。父親のやせた胸からはあばら骨がくっきり見えた。
また、38度線の北では貨車の連結部分に積み込まれた荷物の上で北部から逃れてきた5人家族が毛布にくるまり、寒さをしのいでいた。毛布の上から出した目は恐怖に震えていた。
ソウル市内で負傷した夫を路上に敷いた布団に寝かせ、なすすべもなく心配そうに見守る妻の姿をとらえた写真もいたましい。そばで座り込む老人の表情はいまにも泣き出しそうだった。この写真が撮影されたのは1950年9月。国連軍が仁川に上陸してようやく反攻を開始しようというときのものだ。
中学生らしき見学者は1枚いちまいの写真の前でたたずみ、一生懸命にメモをとっていた。「写真を見て泣いちゃった。戦争というものをテレビや本でしか知らない私たちの世代にも、なにかを訴えてくる。戦争は2度とやってほしくない」。最後はつぶやくように語った。また、60代の女性は、「写真を見て胃が痛くなってきました。同国人どうしが争うとは、ほんとうに悲しく、怒りを覚えます」と話していた。
12日には従軍カメラマンとして韓国戦争を取材した江越壽雄氏(元UPI通信社東京支局写真部長)が、戦場の様子や戦争取材における秘話などを語った。19日は韓国戦争を舞台にした映画「ブラザーフッド」を上映、企画展を監修した菱木一美氏(広島修道大学名誉教授)によるミニトークも行われた。
21日現在の入場者数は約7000人。企画展は27日まで(月曜日休館、午前10時〜午後5時)。一般・大学生500円、高校生300円、小・中学生無料。℡045・661・2040
(2010.6.23 民団新聞)