金一男(第55期民団中央委員)
それにも拘わらず、彼らは自陣営の過失により候補資格を失ったことを反省するどころか、逆に「不正選挙」だと主張しました。そして、組織の一員として新執行部に協力するどころか、組織内に非合法な団体を作って分派闘争を展開しました。考えられない暴走です。
この2年間、彼らは中央主催のあらゆる会議で、意図的に妨害活動を続けてきました。1970年代初めに民団組織が正常化されて以来、初めての出来事です。
残念なことに、中央監察委員長はこれを黙認しました。職務放棄です。
当該候補者の参謀が、傲慢にも力で押し切れると判断したために、民団組織に重大な被害がもたらされたわけです。伝統あるわが民団は、そのために取り返しのつかない打撃を受けました。最初にルールを破壊した人々の責任は重大です。
組織に派閥はつきものです。というよりも、合理的なルールに従う限り、派閥の、広義には意見を同じくする人々の集まりの、競争関係と均衡状態こそが、組織発展の原動力になります。ただし、「ルールを守る」ことが前提となります。もしもルールが失われた時は、組織は派閥のためにむしばまれて委縮し、滅びに向かうのです。
「求める会」系の人々が次期中央執行部を構成することになれば、本来の民団の仕事は二の次にして、徹底的に反対派を排除していくことは目に見えています。民団の公共性は失われ、少数の私的な利権集団へ転落していくことでしょう。
今後の事態は予測できません。けれども、合理的な判断基準は存在します。
第55回大会の選挙結果は合法的なものです。二者の競合で一方の候補に虚偽文書配布・履歴詐称という重大な選挙違反の事実があれば、もう一方が自動的に当選するのは、万国共通の初歩的な決まりです。不正選挙だとか人権侵害などではないのです。
不正の根源は、公正な選挙結果に服しようとしなかった人々の不遜な思考方式にありました。彼らがどれだけ民団の理念と歴史を軽く見ていたかが分かります。
第55回大会の選挙結果は合法的なものです。これを否定する者は利己的な野心家であり、不正な陰謀家です。このような利己的で不正な人々に民団中央を任せるなら、団が私物化されてしまうことは目に見えています。
第55回大会以降のすべての異常事態は、この最初の不正に根差しているのです。
繰り返します。第55回大会の選挙結果は合法的なものです。したがって、この第55期において貫かれなければならない第一原則はただ一つです。相互の批判は批判として、大会で選出された3機関長の任期を全うさせること、この一事に尽きます。
3機関長それぞれの瑕疵は、この間の分裂主義者たちの責任と共に、9か月後、来年2月の第56期大会において問えばいいのです。
合法的に選出された第55期中央3機関長の団組織運営に全員が協力し、その任期を成果的に全うさせること、これこそ、風雪に耐えてきた民団民主主義の当面の大原則です。
もしも、それすらできずに混乱したままに第55期を終えるとすれば、第56期以降の民団は、法的にも実体的にも存在できません。それは、本来の民団とは違う別のものです。
一つの社会の安定にとって、ルールを守ること以上に大切なことはありません。
民主的な組織ルールをきちんと守ってこそ、はじめて民団の理念も生かされ、民団組織の存在意義があります。
「求める会」系の人々に、改めて反省と自粛を求めたいと思います。また、多くの良心的な人々に、「求める会」系の無法な行動に同調しないことを期待します。
民団の民主的風土を守ることは、自由と民主主義を国是とする大韓民国の国家意思であるとともに、東アジアにおいて大韓民国の立ち位置を正した尹錫悦大統領の志にも沿うものと考えます。