【寄稿】朴容正・民団中央本部副議長
「臨時大会開催求める会通信」が約半年ぶりに郵送されてきました。相変わらず「規約無視の大会運営で再選された正当性ない呂健二執行部」などと真っ赤な嘘をつき、断片的事実をもとに虚偽情報(フェイクニュース)を発信・拡散しています。8月4日付最新号(第12号)の表(おもて)面は「臨時大会求める署名準備着々/350名に達する勢い/38地方が開催に決起」の大見出しとともに「規約無視 組織破壊続ける朴議長」と決めつけています。裏面には、韓国のネット紙「ワールドコリアン」(6月3日付)に掲載された李鍾煥・同紙代表のコラム「手帳」を「記者報告」として翻訳・転載。大きな扱いで「民団新聞が『反対派』非難の道具に/呂健二団長の“御用新聞”に転落」との見出しをつけ、目立つように同代表の顔写真まで載せています。
▼韓国ネット紙代表のいいかげんな「記者報告」
同翻訳によると、「記者報告」は冒頭で「民団新聞が最近、重ねて大きな紙面を使って『反対派』を攻撃するのを見て『自暴自棄』ではないかと思った。民団新聞5月10日付に一面全体を使って『反対派』を非難して攻撃する寄稿文を載せた」と問題視。「民団中央本部の朴容正副議長が寄稿した文は、以下のように『反対派』の名前を敵視し『真っ赤な嘘』など強い語調で次のように始めた」とし、寄稿文の冒頭部分を引用。さらに「朴副議長は民団内紛状況を伝えた2021年12月25日付、連合ニュース記事も非難し、自分の見解を長々と書いた」としています。
2年前の民団中央3機関長選挙後の「組織混乱」について、李鍾煥代表がどこまで取材したのかは知りません。だが、事実に基づいた「報告」でなければなりません。ところが、冒頭から「民団新聞が最近、重ねて大きな紙面を使って『反対派』を攻撃するのを見て」云々と、「事実でないこと」をあたかも「あったこと。事実である」かのようにねつ造し、虚偽情報で読者をミスリードしています。記者・ジャーナリストとしては絶対にやってはいけないことです。
なお、私の寄稿文「『誇りある在日の矜持』と真逆の言動」は、一方的に「『反対派』を非難して攻撃」するものではありません。呉公太「臨時大会開催を求める会」共同代表(前民団中央本部団長、任泰洙中央団長候補選挙事務所選対本部長)、李壽源民団東京本部団長(旧「民団中央正常化委員会」代表)らによる規約無視および荒唐無稽な「陰謀論」の拡散について、「民団組織・同胞を貶めるものである」と、具体的事実・根拠を明示して批判したものです。
ちなみに、民団新聞5月10日付に掲載された私の寄稿文だけでなく、金一男・第55期民団中央委員の寄稿「組織混乱 原点に戻って考える」 、民団中央組織局の「張界満民団新宿支部議長への抗議文」からの「引用」も「翻訳」も不正確です。この機会に、民団新聞5月10日付に掲載された寄稿文2本および抗議文に今一度目を通していただければありがたいです。
▼真っ赤な嘘・ねつ造し「民団新聞」を貶める
「記者報告」の結び部分は、「求める会通信」の訳文によると「民団全体の機関紙ではなく民団中央が『反対派』を攻撃する道具としてコントロールするや、民団新聞を見る目も変わってきた」と断言し、「民団新聞が在日同胞のためではなく、特定派閥の御用新聞に転落した。広告に続き購読部数も急激に減るのは当然の報いだ」と強い調子できめつけています。ところが、この後半箇所の原文は、「民団新聞が在日同胞のためではなく、特定派閥の機関紙に転落し、広告に続き購読部数も急激に減らすのではないか憂慮される」となっています。「急激に減るのは当然の報いだ」と訳しているのは、明らかに文章の改ざんです。やってはいけないことを、「求める会」の人たちも平気でやっているということです。
そもそも、李鍾煥代表の「記者報告」は、ためにするものと言わざるをえません。前述のように、「民団新聞が最近、重ねて大きな紙面を割いて『反対派』を攻撃」したというのは真っ赤な嘘です。民団新聞が、「求める会通信」を中心にして繰り返し荒唐無稽な「陰謀論」を唱える「正常化委」・「求める会」主導者の言動を批判する寄稿文を「大きく紙面を割いて」掲載したのは「5月10日付」が初めてです。
今年発行された民団新聞には、「正常化委」・「求める会」主導者を批判するような寄稿文は、それまで1本も掲載されていません。民団混乱事態に関する寄稿文の掲載は、昨年4月15日付の呉英義・民団中央副団長による「第76回定期中央委員会 混乱招いた責任を問う/主導人士、潔く退くことを望む」以来、初めてです。つまり、民団新聞は民団混乱事態に関して、この1年間に2回しか寄稿文を掲載していないのです。私は昨年、民団新聞宛に何度も投稿していますが、結局一度も掲載されませんでした。
もし、民団新聞が①これまで「『反対派』を具体的な事実・根拠を示すことなく一方的に攻撃」する寄稿の掲載に何度も大きな紙面を割いている②しかも「反対派」からの反論や寄稿については、すべて掲載を拒否してきた――ということが実際にあったならば、「民団新聞は、民団中央が『反対派』を攻撃する道具になり、特定派閥の機関紙化した」とみなすこともできそうです。
だが、「記者報告」は、「なかったこと」を「あったこと」かのように伝え、具体的事実・根拠を示すことなく、「『反対派』非難の道具に」・「特定派閥の機関紙化」と主張しているのです。悪質なレッテル貼りと虚偽情報の拡散により韓国国民および在外同胞に誤った民団新聞像を伝え、民団組織・同胞を貶めるものと言わざるをえません。李鍾煥代表は、「記者報告」の配信に先立ち、①事実誤認はないか事実関係の徹底確認(これはジャーナリズムの鉄則です)②当事者や関係者が傷つく恐れがあったり、読者に誤った印象を与えたり、不快にさせたりする表現や構成になっていないかなど、あらためて冷静にチェックしたのでしょうか。あまりにも無責任です。
▼さらに一部改ざんまでした「求める会通信」
「求める会通信」が、このように無責任にしてアンフェアな「記者報告」を大きく紙面を割いて翻訳・転載、しかも一部改ざんまでしたのは、それが呂健二中央団長および朴安淳中央議長に対する自分たちの主張の「正当性」を裏付けるものであるかのように印象付けたいがためなのでしよう。「求める会通信」は2022年1月17日付の第2号の裏面(「民団の混乱、本国でも大きな波紋」)でも、まったく事実と異なるでたらめで、結果的に民団組織・同胞を貶める「聯合ニュース」(2021年12月25日)を大々的に翻訳・転載しています。
李鍾煥代表が「反対派」と呼ぶ「正常化委」・「求める会」の主導者は、これまで駐日韓国特派員を招いての記者会見を開いたほか、特派員らの取材やインタビューに積極的に応じてきました。そして2021年4月の第55回定期中央大会運営を、規約違反で非民主的ででたらめなものであるかのように主張・喧伝。「正当性のない呂健二団長」「呂健二氏および朴安淳氏はもはや団長でも議長でもない」などと虚偽情報、デマを拡散してきました。
この人たちは、「団員の皆様が主権者である」と叫びながらも、これまで民団同胞のための在日同胞メディアを呼んでの記者会見はもとより、取材やインタビューにも応じていません。民団全体の機関紙である民団新聞の取材にも応じていません。その一方で、呂健二団長および朴安淳議長に対する誹謗中傷をやめない「求める会」は、各地方本部3機関長、中央委員・代議員を主対象に、虚偽に満ちた「求める会通信」を21年12月20日付の第1号から最新の第12号まで発行、郵送しています。
金春植中央本部監察委員長と二人三脚で、民主的組織ルールを無視し、「今や呂健二氏は団長でない。朴安淳氏も議長ではない」と強弁・喧伝し、間違いを指摘され批判されても撤回せず、虚偽情報を継続発信しています。そして具体的な根拠を示しての指摘、疑問に対して応答せず、開かれた場での合理的、客観的、実証的な議論・討論を通じて、多くの団員と事実を事実として共有することを、初めから拒否しています。
▼「よらしむべし知らしむべからず」の世界
「臨時大会開催を求める会」は、いまだに同会の連絡先、たとえば電話番号、ファクス番号、もしくはメールアドレスなどを知らせていません。住所さえ示されていません。このため「求める会通信」の内容に対する反論・抗議はもとより、問い合わせ・事実確認もできません。質問・疑問・意見・異論を一切受け付けず、自分たちの欺瞞に満ちた主張を「地方本部3機関長、中央委員・代議員」に一方的に発信・送り付けることに徹しています。「幹部」以外の、多くの「主権者である団員の皆様」は最初から除外されています。多くの団員の質問・疑問に丁寧に答え、多様な意見、異論や反対意見に耳を傾ける考えは毛頭ないのです。「よらしむべし知らしむべからず」の世界です。およそ「自由・民主主義」思想とは対極にある人たちなのです。
民団組織と一人ひとりの団員、そして在日同胞社会を大切に思い、その持続的発展について真摯に考えているのであれば、これ以上、中央委員・代議員および各地方本部・支部団員を欺き、民団中央本部への「不安」を醸成して民団組織の「混乱」を拡大するようなことがあってはなりません。私たちの共有財産である民団組織、そして在日同胞を貶める対内・対外発信は速やかにやめなければなりません。