12月2日に東京・田町で開かれた「第56回臨時中央大会」と称した集会は、民団規約を完全に無視したものだった。
「12・2集会」主導者は、「規約第13条但書(1)を適用し、請求者代表が召集した」ものだと強弁している。しかし、規約第13条但書(1)に明記されている「請求者の代表による召集」が適用されるのは、中央委員・代議員の2分の1以上から「臨時中央大会召集請求」が中央議長に提出され、「真正(本人署名)確認」済みであるにもかかわらず、中央議長が臨時中央大会を召集しなかった――場合に限定されている。
ところが、「請求署名の真正確認」の結果、中央委員・代議員の「2分の1以下」だった。したがって「規約第13条但書(1)」は適用されず、「請求者代表による召集強行」は明白かつ重大な規約違反である。同集会の主導者は、「12・2集会」の「主要議決事項」なるものを「在日本大韓民国民団」の名称を騙り、しかも規約のどこにも存在しない「暫定議長」名をもって、各地方本部・中央傘下団体および中央委員・代議員らに発信・郵送している。
「主要議決事項」によると、集会において、「第13条運用規定は、規約第13条に著しく抵触し規約違反であるために無効とする」と主張。その理由として「臨時大会は緊急性を要するもの、運用規定によると、それが半年以上もかかるようになっている。規約第13条では、議長が認めようが認めないが、私たちが通告するとなっている。それを根底から否定する運用規定などありえない」などと強調している。
だが、第13条運用規定では①「請求人は議長が署名様式を受理した日から30日以内に署名を議長に提出」し➁議長は「署名と中央委員・代議員名簿を照合確認し、署名が在籍中央委員・代議員の過半数であれば遅滞なく仮受領書を交付」し、「署名の真正を確認するため、署名人に対し遅滞なく署名確認書を送付」する③「署名確認書を受領した署名人は、必要項目に記入の上で、議長による同確認書の作成日から30日以内に議長に返送」する④返送された同確認書は執行・監察両機関立会いの下に議決機関が精査して、「有効と確認された署名が在籍中央委員・代議員の過半数であれば正式受領とし、臨時大会開催要求の通告と認定」する――となっている。
そして、規約第13条では「臨時大会は、大会構成員の2分の1以上の請求がある時にはその通告を受けたあと30日以内に議長は臨時大会を召集しなければならない」となっている。したがって、第13条運用規定によれば、署名提出から「60日以内」(2か月以内)には、臨時中央大会の召集が可能だ。「運用規定によると、それが半年(6カ月)以上もかかるようになっている」との「集会」主導者の主張は、まったく根拠のない強弁というほかない。
そもそも、本当に規約違反であるならば、「臨時中央大会召集請求者代表」(李元徹大阪本部団長・李壽源東京本部団長)が、朴安淳中央議長への署名提出(10月21日)時に①「第13条運用規定は無効だ」と主張して「仮受領書」の受け取りを拒否し➁「この日から30日以内に議長が臨時中央大会を召集しなければ、請求者代表の自分たちが召集する」と明言してしかるべきであった。
だが、そうしていない。二人は朴安淳中央議長から「仮受領した署名につきましては、規約第13条運用規定に基づき、署名の真正を確認いたします」と明記された「仮受領書」を拒むどころか、異論を唱えることもなく、そのまま受け取り、帰っている。ばかりか、10月27日には、「臨時中央大会の召集請求署名 御礼とお願い」と題した文書を中央委員・代議員に送付。「署名確認書は早急にご返送を!」(下線は原文のママ)との見出しを付け、「今後、中央本部より皆様に署名確認書が送付されますが、提出期限が設けられていますので、必要項目にご記入の上、早急にご送付して頂きますようお願い致します」(太字および下線は原文のママ)と呼びかけていた。
それにもかかわらず、「署名確認書の返送」提出期限の10日前の11月14日に突然、「緊急のご案内」を中央委員・代議員に送り付け、「署名確認書の返送」および「有効署名者数の確定」とは全く関係なく「自分たちの手で第56回臨時中央大会を12月2日に召集する」と一方的に宣言。規約を無視して「第56回臨時中央大会」を詐称する集会を強行した。明らかに中央本部議長を騙し、中央委員・代議員をも欺き騙したことになる。
今回の「署名」は来年2月の定期中央大会まで、残り任期わずかの中央本部議長および中央監察委員長の「不信任のための臨時中央大会召集」を求める極めて重要なもの。だが、「召集請求者代表」は、最も肝心な署名の有効性を確認するための「執行機関・議決機関立会いの下の議決機関による本人確認作業」について、「規約違反であり不必要だ」と態度を豹変させた。
臨時大会召集請求署名の「真正(本人確認)確認」作業は、第13条運用規定がまだなかった2021年7月の「民団中央正常化委員会」(代表=李壽源東京本部団長)による「臨時中央大会召集請求署名」の時にも、行われている。本人署名確認は、規約・規定に明示されていなくてもその有効性確認のために不可欠だからだ。この時の「真正確認」は、「正常化委」もその必要性を認めて実施された。
ところが、この時も、この人たちは、今回と同じように突然態度を豹変させた。つまり李壽源「正常化委」代表が、署名確認作業の4日前に、朴安淳中央議長に「書留」を送り付け、「署名確認作業は無意味であり、無効である」と一方的に主張。しかも、金春植中央監察委員長が立ち会いのもとに双方の合意で「23名の署名は無効」としていたにもかかわらず、それを反古にしただけでなく、「本人署名確認手続き抜き」での「臨時中央大会の即時開催」を要求した。まったく無茶苦茶だった。
「過半数以上の要求かどうか」の確認作業の実施を無意味・無効だと一方的に宣言し、「臨時中央大会の即時開催」を要求する「正常化委」代表のたち言動は、非常識極まりないものだった。この時に中央監察機関立会いの下で確認された「署名本人確認」の返送数は「中央委員・代議員の過半数(262名)」に及ばぬ「241名以下」だった。それにもかかわらず、「正常化委」代表たちは、その後も「有効署名者数は過半数を優に超える308名だった」と虚偽報告を発信し続けた。今回も同様に、「12・2集会」主導者は、本人署名確認を途中で拒否し、「324名の署名に基づいて臨時中央大会が開催された」と、中央委員・代議員に対して虚偽報告を行い、発信している。
ちなみに、2021年の時、「正常化委」が作成し集め、議決機関に提出した「署名」は、「民団中央本部の混乱を一日も早く収拾し、組織正常化を図るために、本団規約に基づき大会構成員である中央委員・代議員を招集しての臨時大会の開催を求めます」というものだった。そこには「呂健二団長に対する信認を問う」という文言は入ってなかった。初めて「本当の目的」を明らかにしたのは、「大会成立に必要な過半数の署名は近日中に達する勢い」だとする李壽源代表の5月12日付「有権者へのアピール文」(「私たちは臨時中央大会で①現職団長の信を問う②選挙管理委員会を新たに構成することを――強く求めることを明らかにします」)によってだった。「本当の目的」を隠して「署名」を集めたのであり、アンフェアな「署名活動」だった。
「請求人は臨時大会開催を求める目的を明示した趣旨を記載された署名様式を議長に提出しなければならない」とし、「本人署名の確認手続き」などを明示した「第13条運用規定」が設けられたのは、2021年の経験・反省を踏まえてのものだった。提出された多数の署名が本人によるものなのか、その有効性を審査するのは、民主的社会において当然のことで、常識に属する。規約第13条にはその手続きが明示されていないので、「第13条運用規定」によって明確にされたのである。「第13条運用規定」を「規約第13条に著しく抵触し規約違反だ」とする「12・2集会」での主張は、まったくためにするものである。
中央委員・代議員を欺き騙したということでは、2021年の時と同じだ。だが、今回の場合は、①規約を無視して「第56回臨時中央大会」なるものをでっち上げ、②しかも規約にない「暫定団長」、「暫定議長」、「暫定監察委員長」なるものを選出したとし、③「暫定議長」名で中央委員・代議員、そして地方本部・中央傘下団体に対して「主要議決事項」なるものを郵送・発信するなど、前代未聞で、悪質極まりない。
ちなみに、「暫定議長」と称する張仙鶴氏は、「12・2集会」に中央監察委員長として参加し「挨拶」で辞意を表明したという金春植中央監察委員長のもとで終始行動を共にし、活発に発言してきた中央監察委員である。金春植委員長は、「呂健二団長は規約を無視した中央選挙管理委員会によって選出された正当性がない団長だ」と強弁し、フェイクニュースを発信してきた「正常化委」(李壽源代表)と「臨時大会開催を求める会」(呉公太共同代表)に積極的・明示的に加担してきた。
金春植委員長は、昨年3月には第76回定期中央委員会の正常進行を妨害するための「台本」(冒頭に「議長を立ち往生させるほどの攻撃で議長の権威を貶める」などと明記)を「求める会」側と協議・作成。同中央委員会前夜の「求める会」による「臨時大会を勝ち取る決起集会」にも張仙鶴監察委員らを連れて参加。中央委員会では役割分担に基づいて張仙鶴監察委員が不規則発言を連発した。
金春植委員長は、その後も「公文」をもって意図的にフェイクニュースを拡散。その挙句には、「中央大会で選出された団長・議長らに対する懲戒」には「中央委員会の(事前)同意」が不可欠とする「規約第75条但書(1)」を無視し、「中央委員会の同意」抜きに「呂健二中央団長と朴安淳中央議長を停権3年処分にした。今後いかなる場合も『団長』と『議長』の役職を使用してはならない」とする「公文」(昨年7月14日、8月14日)を発信。張仙鶴委員も「呂健二氏および朴安淳氏はもはや団長でも議長でもない」と終始強弁してきた。
8・15光復節記念式典は民団とって最も重要で厳粛な式典である。本国政府の代表である尹徳敏特命全権大使が日本着任後初めて臨席した昨年8月の光復節中央記念式典(東京)において、張仙鶴委員は、中央本部慶祝辞のために呂健二中央団長が登壇すると、金春植委員長と共に「もうあなたは団長でない」「中央団長として認めない」などと大声で叫び席を立った。この時、東京本部の安容範議長と一部副団長・支団長も同時に退席した。尹徳敏大使が臨席した今年の光復節中央記念式典でも、呂健二中央団長が登壇すると、張仙鶴委員は金春植委員長と共に「あなたは中央団長でない」として退席。醜態をさらした。