◆在外投票は4月1日開始
韓国で4月15日(在外選挙は4月1日から6日)に実施される国会議員総選挙だが、3月26日現在、登録した政党は50にのぼり、比例代表にのみ投票する在外選挙人にとっても困惑だ。ただ事実上、5党による対決構造に編成されている。
保守系の最大野党「自由韓国党」と野党第3党「新しい保守党」が合併した「未来統合党」が2月17日に発足し、野党第2党「正しい未来党」と「対案新党」、「民主平和党」は2月24日に新党「民生党」を立ち上げた。
総選挙は与党「共に民主党」(李海瓚代表、議席数121)と保守系の「未来統合党」(黄教安代表、同102)、民生党(金晶和、柳成葉共同代表、同20)、「実用的中道」を掲げて結成した「国民の党」(安哲秀代表、同1)、左派「正義党」(同6)の5党が競合する構図となる。
(議席数は3月26日現在)
中道・無党派層の動向が勝敗の鍵を握るとされ、各党は取り込みに力を入れる構えだ。
「共に民主党」は中道・無党派層が多い首都圏などでの野党の再編の影響を見極め、選挙戦を展開する見通しだ。「未来統合党」は保守系の結集に加え、政権の審判を訴えて中道派も取り込みたい考えだ。「国民の党」は「共に民主党」と「未来統合党」を「既得権政党」と追い詰め、中道票の掘り起こしを進める。
一方、南西部の湖南地域、全羅道を支持地盤とする民生党は「傲慢(ごうまん)な与党をけん制する勢力が必要」として支持を訴える考えだ。
左派の「正義党」は独自の支持層のさらなる拡大を狙う。
ただし、在外選挙人の多くは比例代表のみ投票するためこれとは異なってくる。昨年12月に公職選挙法が改正され「準連動型比例代表制」が実施される。
韓国国会議員の全議席数は300で、地方区253議席、比例代表が47議席だ。比例47のうち30議席にのみ連動率50%を適用する。この連動型比例代表30議席は、各党の小選挙区当選者数と政党得票率などにもとづいて配分され、残り17議席は政党得票率にもとづいて配分される。このため、選挙区で多数議席を獲得した政党は、比例代表で議席数が制限される。
このため、与党の「共に民主党」と最大野党の「未来統合党」は、事実上の比例代表専門の政党を立ち上げている。「共に民主党」は「共に市民党」、「未来統合党」は「未来韓国党」だ。
◆「共に民主党」と「未来統合党」は比例候補を出さず
韓国中央選挙管理委員会によると、第21代国会議員選挙の立候補登録が27日に締め切られた結果、比例代表に35の政党が候補登録した。このため、投票用紙の長さは48.1センチと過去最長となった。開票作業は人による手作業で進行する予定だ。
投票用紙自動分類器で使用できる投票用紙の長さは最長で34.9センチ。選挙で投票用紙の自動分類器を初めて使用した2002年の地方選挙以来、18年ぶりに手作業による開票が行われる見通しだ。
投票用紙の一番目は記号3番の「民生党」次いで「未来韓国党」「共に市民党」の順になった。
公職選挙法150条(5人以上の地方区議員を持つ政党、または直前の大統領選挙と比例代表議員選挙などで3%以上を得票した政党に全国的に統一記号を優先して付与する)により、1番が「共に民主党」(121議席)、2番は「未来統合党」(同97)、以下、3番「民生党」(同20)、4番「未来韓国党」(同17)、5番「共に市民党」(同8)、6番「正義党」(同6)には固有記号番号が与えられた。
しかし、固有記号番号1番の「共に民主党」と2番の「未来統合党」は比例候補を出さなくなったことで、20人の議席を持つ「民生党」が3番で比例投票用紙の先頭に位置することになった。
さらに固有記号番号によって17議席所有の「未来韓国党」が4番、8議席所有の「共に市民党」が5番、6番は「正義党」となり、趙源震、徐清源議員が在籍している「ウリ共和党」は7番となった。
このため、実質上、比例政党投票の場合、
「共に民主党」を支持する場合は
5番の「共に市民党」に、「未来統合党」を支持する場合は
4番「未来韓国党」と、それぞれの衛星政党(比例専門政党)に投票することになる。
現役議員が1人ずつ在籍している「民衆党」「国民の党」「開かれた民主党」「親朴新党」「韓国経済党」の場合、直前比例代表選挙に立候補歴がある「民衆党」と「韓国経済党」がそれぞれ8番と9番で10番が「国民の党」、11番は「親朴新党」、12番に「開かれた民主党」の順となった。
◆40カ国65カ所で在外選挙投票中止
韓国の中央選挙管理委員会は4月1日から始まる、第21代韓国国会議員選挙の在外投票に関して、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米国大使館など、25カ国41カ所の投票所を中止することを3月30日付けで発表した。すでにイタリア大使館、中国・武漢などの中止を決めていたが、米国、カナダなどが爆発的感染となったことで、追加した。合わせて40カ国65カ所が中止となった。該当地域の在外選挙人は8万人余りに上り、全体数(約17万2000人)の半数近くになる。
一方、中央選挙管理委員会は在外選挙事務が中止されていない地域の場合、4月1~6日の期間中、在外投票を実施するが、在外投票所の防疫対策を点検するなど、万全を期し、在外投票所を訪れる在外国民には検温のほか、マスク着用や手指の消毒を徹底する
ただ、在外投票期間中に駐在国の制裁措置が強化されたり、コロナ19の拡散で在外投票が不可能な地域が発生した場合、追加で中止を決定する予定だ。
(2020.04.03 民団新聞)