掲載日 : [2022-05-16] 照会数 : 2564
ヘイトクライム対策要望…在日3世が古川法相に窮状訴える
研究者や弁護士らでつくる非政府組織「外国人人権法連絡会」(共同代表〓田中宏・丹羽雅雄)は4月28日、古川禎久法相と面談し、「緊急のヘイトクライム対策を求める要望書」を提出。「ヘイトクライムは差別的動機に基づく犯罪、絶対許されない」とあらゆる機会を利用して明確に宣言するよう求めた。
同席した直接の被害当事者、在日韓国人3世の崔江以子さんは「ヘイトスピーチ解消法ができてから6年。なのにもっと厳しい状況になるとは当時は考えもしなかった」と脅迫状などを手に窮状を訴えた。
同連絡会事務局長の師岡康子弁護士によれば、古川法相は「人種や国籍などを理由とした差別は許されない。表現の自由を理由にして思考停止に陥ってはならない」と明言したという。法相が直接、被害当事者からの訴えを聞いたのはこれが初めてとのこと。
要望書ではヘイトクライム対策部署の政府内設置、専門的な審議会によるヘイトクライム対策に関する包括的な制度設計などを求めている。そして、なによりも急ぐのは、ヘイトクライムと思われる事件が起きた時に首相や法相らが根絶のための具体的な行動を積極的、具体的にとることだと呼びかけた。
国会での政府答弁ではヘイトクライムの定義は「不明確」とされている。刑事裁判でも人種差別的動機が認定され、重く処罰された例はないに等しく、現行法では対処できていない。丹羽共同代表は「来年は関東大震災から100年。国が動くのが不可欠」と述べた。