在日韓国人信用組合協会(韓信協=呉龍夫会長)の会員5組合と近畿産業信組の総代会が6月中に開催された。
韓信協がまとめた会員5組合の16年度業績は、全会員組合が15年ぶりに黒字決算と配当を実現した2年前に比べ、マイナス金利政策などの影響で昨年に続き、厳しさが続いた。合併による体力強化によって業績を伸ばした横浜幸銀などが好調さを見せたが、岡山商銀は2年連続で赤字決算となった。
会員5組合の総預金高は8370億円で前年比581億円増加し、貸出金も623億円増の5961億円となった。平均預貸率は71・23%と前年比2・70ポイント上昇した。
預金では横浜幸銀が前期比で10%台、あすかも9%台の高い伸び率を見せたのに対し、愛知商銀は3%弱にとどまった。広島商銀と岡山商銀は預金残高で、さらに岡山商銀は貸出金残高でも前年度実績を下回った。
当期利益においても横浜幸銀とあすかが10億円以上を計上し、昨年赤字だった広島商銀は黒字に転換した。しかし、岡山商銀は昨年に続き赤字を余儀なくされた。
配当率はあすかが2%、愛知商銀、広島商銀が1%と前年水準を維持し、合併した横浜幸銀は1%とした。岡山商銀は昨年に続いて無配当になった。
自己資本比率は横浜幸銀が10・30%、愛知商銀は7・55%と安定を見せ、あすか、広島、岡山はいずれも6%台後半を維持した。
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合併効果で配当も
横浜幸銀信用組合 横浜幸銀信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市、第1期)は26日、横浜市内のホテルで総代123人中99人(委任状66)。
合併初年度、広範囲な地域で収益基盤を拡大。キャンペーン定期預金商品「未来」などの好評によって、預金は前期比367億5900万円増の3329億1800万円となった。貸出金も中小規模業者への融資拡大などで381億1100万円増の2420億7300万円とした。預貸率は72・71%。自己資本比率は10・30%とし、国内基準(4%)を2・5倍以上うわまわった。純利益は12億5100万円で、合併初年度の配当率は1%とした。
呉理事長は「合併に伴い信組業界の上位に位置するスケールとなった。貸出金は堅調に推移しているが、マイナス金利政策などの影響が懸念されている。経営効率化などで収益性の向上、財政基盤の強化を図っていきたい」と抱負を語った。
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預金・貸出とも伸長
あすか信用組合 あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都、第51期)は23日、東京都内のホテルで総代113人中86人(委任状35)。
継続して、特別金利定期預金の「あおば」と60歳以上限定の「シルバー定期」の好調が続いたほか、組合員限定の「プラチナ定期」や「いつでも満期」が人気で、預金は前期比203億400万円増の2468億7600万円となった。
貸出金は4年前から商品化した不動産担保ローンなど、インターネット広告の強化などで積極販売し、186億3600万円増の1785億4700万円。預貸率は72・32%と1・74%上昇。
ただし、市場金利の低下により、純利益は前年並みの11億100万円にとどまった。自己資本比率は6・84%。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「今期は新3カ年中期経営計画のスタート年。自己資本の充実を図りながら基盤固めに取り組む」と述べた。
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逆風の中 黒字転換
信用組合広島商銀 信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市、第56期)は27日、本店で総代108人全員出席(委任状49)。
預金は主力商品の金利引下により前期比7億円減の1461億600万円となった。しかし、貸出金は新規取引先の開拓を継続する一方、業務提携を進めたことで29億3900万円増の1012億2400万円とした。預貸率は2・33%増の69・28%。
市場金利の低下による他行との貸出競合や金利競争による利幅縮小の影響で業務純益が伸び悩んだが、店舗の統廃合で経費削減するなど昨年マイナスだった純利益が1億1100万円と黒字転換した。自己資本比率は6・53%で昨年並み。配当率は1%のまま。
井上理事長は「中期計画に加え、融資を中心とした営業活動の強化を推進する」と述べた。
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新理事長に大原氏
信用組合愛知商銀 信用組合愛知商銀(李國雄理事長。本店・名古屋市、第64期)は28日、愛知韓国人会館で総代107人中103人(委任状38)。
信用組合の基本理念に立ち返り、地域密着型金融に注力するとともに、地域情報を活用した事業再生、創業・新事業への積極支援などを推進、個人・法人の顧客数が増え、預金は前期比23億4300万円増の859億3100万円となった。
また、各企業の設備投資や個人の住宅ローン需要が活発化し、貸出金は31億4400万円増の635億6000万円に。預貸率は1・69%上がり73・97%。純利益は2億2300万円減の1億1700万円。自己資本率は、0・35%下がり7・55%。配当は、昨年と同じく1%を維持。
任期満了に伴い、新理事長に大原清二専務理事(64)を選出した。大原新理事長は「商銀と会員のために、一層尽力していく」と決意を語った。
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合併の協議を承認
信用組合岡山商銀 信用組合岡山商銀(梁炳玉理事長。本店・岡山市、第55期)は23日、本店で総代108人中92人(委任状24)。
預金はキャンペーンにより順調に推移したものの、融資先に関わる預金の減少によって前期比5億9200万円減の251億9000万円。貸出金も金利競争の激化に加え、不良債権処理等によって伸び悩み、4億6500万円減の107億8100万円。預貸率は0・82%下がり42・80%に。
業務利益は1億600万円としたが、多額の貸倒引当金を計上したため純利益はマイナス5億3500万円となった。このため、自己資本比率も2・63ポイント下がって6・60%となり、配当率は0にした。
なお、5月26日の理事会で議決した横浜幸銀との合併協議開始について承認した。梁理事長は「何がベターかを議論した結果、合併が最善策と決断した」と説明した。
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預金1兆円台更新
近畿産業信用組合 近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市、第64期)は26日、大阪市内のホテルで総代194人中179人(委任状80)。
「5カ年中期計画プロジェクト100」の展開によって収益力と経営基盤を強化。
預金はプレゼント付き定期「とらきちの贈りもの」などのリテール商品が順調に伸張し、前期比56億円増の1兆3338億円とし過去最高記録を更新した。中小企業支援を積極展開した結果、貸出金も463億8000万円増の8105億円とし、預金・貸出金ともに信用組合日本一を維持。預貸率は3・23ポイント上がって60・76%に。純利益は約3億円増の59億3300万円、自己資本比率は0・39%増の10・30%と10%の大台を達成。配当率は前期と同じ2%。
大本理事長は「来年1月には本店新ビルが完成する。さらに質の高い金融サービスを提供する」と表明した。
(2017.6.28 民団新聞)