掲載日 : [2010-06-30] 照会数 : 7431
「まず、読んでみてから議論を」 朝鮮高級学校『現代歴史教科書』全3巻翻訳出版
授業料無償化
全国の朝鮮高校で使われている教科書『現代朝鮮歴史』(高級1〜3、写真)が、日本語で読めるようになった。フリーランスジャーナリストの萩原遼さんを中心とする専門家9人で翻訳。大阪の「星への歩み出版」(℡072・990・2887)から刊行した。
先ず気づくのは、「敬愛する金日成主席様」「敬愛する金正日将軍様」という最大限の尊称が目立つこと。全巻隅々まで行き渡っている。「現代朝鮮の歴史」でありながら金日成・正日親子の歴史といっても過言ではなさそうだ。
事実と異なる表現もいくつかあった。端的なのが6・25韓国戦争に対する解釈だ。「米帝のそそのかしを受けた李承晩が38度線の共和国地域に集中的な砲撃を加え、6月25日には全面戦争へと拡大した」(高級1)としている。
日本人拉致事件では02年の小泉首相訪朝時、金正日総書記自ら事実を認めて謝罪しているが、同教科書ではこの謝罪の事実を記述していない。「日本当局は『拉致問題』を極大化し、(略)、日本社会には極端な民族排他主義的な雰囲気が作り出されていった」(高級3)と、責任転嫁している。日本での北韓核やミサイル問題報道についても、「総連を瓦解させようとする謀略宣伝を敢行した」(同)などと書いている。
「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」代表の三浦小太郎さんは、「朝鮮高校についても授業料を無償化するべきかどうかは、この教科書を実際に読んでから議論してほしい」と話している。
(2010.6.30 民団新聞)