掲載日 : [2020-12-15] 照会数 : 9482
新韓銀行 応援しよう<下>10年かけ歴史的新設
[ 新韓銀行オープンに参加した在日同胞 ] [ 新韓銀行の前身ともいえる「第一投資金融株式会社」 ] [ 新韓銀行が日本現地法人として設立したSBJ銀行(2009年9月) ]
「筆頭株主」維持へ一致団結
◆今こそチャンス!
1977年に初の在日同胞のための金融機関「第一投資金融株式会社」の創業を経て、本国投資協会は長年の宿願である銀行所有の夢を叶えるべく、政府系列の都市銀行のひとつの買収を提案した。当時、5つの都市銀行が存在していたが、いずれも「半官半民」が強く、100%民間資本の銀行はない時期だった。
提案に対して政府は銀行の代わりに信用金庫の引き受けを逆提案した。このため、本国投資協会は買収ではなく新設を計画した。
80年4月に民団中央が政府に同胞銀行の設立の許可を求める請願をしたが、回答は「NO」だった。
ところが全斗煥政権の発足とともに、「外国人系の銀行設立」の検討が発表され、80年12月に金融の「国際化・大型化・自立化」を基本方向とした「一般銀行経営の自立化法案」が発表された。
この法案が発表されると、李煕健会長は「今こそ在日同胞銀行設立のチャンスだ」と直感し、「銀行設立推進委員会」を構成し、81年4月24日に本国投資協会、民団、韓商連、韓信協の共同名義で財務部に請願書を提出した。
この年の5月、李会長は大阪興銀の総代会で「在日同胞の力で本国に都市銀行を設立し、同胞や日本人の韓国進出をバックアップすることが夢ではなくなる」と力説し、組合員に「本国同胞銀行」設立の趣旨を説明した。
4月に提出した請願書に対して5月に、韓国政府当局から肯定的な回答が寄せられた。これを受けて同年7月20日、在日企業家たちが「同胞銀行設立のための発起人大会」を開催し、銀行設立への第一歩を踏み出した。
73年に「同胞銀行設立推進委員会」を構成してから10年近くの歳月を経たが、在日企業家たちの地道な努力、民団をはじめとする在日同胞社会の一致団結した側面支援が結実した。
◆企業文化の土台
在日投資家34人で「新韓銀行銀行設立委員会」を構成し、創業に向けて急ピッチで準備を進めた。
第一投資金融の社員の一部を選抜し事務局を設ける一方、大阪興銀では職員の一部を大和銀行に派遣し3カ月間の研修を受けさせ、設立委員会事務局に合流し、開業準備を進めた。
当時、全国的な営業網を備える都市銀行5行と競争するためには少数精鋭の人材確保が不可欠だった。
当時、韓国証券取引所専務理事の金世昌氏を銀行開設準備委員会に迎え入れたほか、破格の待遇を与えることで優秀な経歴を持った社員と新入社員を確保した。採用した役職員には様々なプログラムと研究を用意し、徹底的に研磨した。これが新韓銀行の企業文化の土台となったのだ。
新しく設立される都市銀行はその資本を純粋な民間の資本で構成することにより、銀行の社会的役割を担当することが期待された。
とくに、当時、先進国に押し迫る金融変革期を能動的に対処できる方法を模索し、また在外国民にも新しい民主福祉国家の建設に関与できる契機になる。新韓銀行はこのような金融経済的な与件と社会的な環境の中で、在日同胞の有力な人びとが中心となって設立し、82年7月7日、国内はじめての純粋な国民の銀行として歴史的な発足をした。
その後、政府と社会団体及び各種の言論機関から好評を得て、資産の健全性及び経営の効率性で最も優秀な銀行として公認を受けている。
06年4月には政府の管理下にあった老舗の朝興銀行を吸収合併した。持続的に店舗を拡大する等、今や韓国の金融産業界の発展をリードしている。また、海外にも進出、19カ国に支店と代表事務所がある。
◆日本支店と現地法人
新韓銀行は86年に大阪に支店を設立した後、東京、福岡、羽田空港国際線と博多港国際ターミナルなど営業網を広げた。23年間の実績を積んだ後、09年7月27日に営業免許を取得し、9月14日に現地法人として、SBJ銀行(Shinhan Bank Japan)が設立された。日本ではシティバンクに続いて2番目の外資系銀行だった。
現地法人の開業以来、全国展開し、顧客信頼感の増大、資金調達や営業拡大、預金・貸出等の金融商品及びサービスを提供している。
◆世界に飛躍する新韓
韓国で初めて純粋な民間資本によって設立された新韓銀行が設立してから20年近く経過した01年、金融業を営む会社等に対する支配・経営管理、依存会社のための資金支援などを主な事業目的とした新韓金融グループ、新韓持株会社が設立された。
01年9月に株式移転の方法により、新韓金融持株会社が設立され、新韓金融持株会社が新韓銀行、新韓カード、新韓金融投資、新韓生命などを完全子会社の形態で所有している。
同グループは、2万7000人余りの社員と約1300カ所に及ぶ韓国内ネットワークをはじめ、日本、米国、中国など、20カ国189カ所の海外ネットワークを保有し、韓国証券取り引き所(KRX)とニューヨーク証券取り引き所(NYSE)に上場している。
◆各グループ会社
同グループはメインとなる新韓銀行以外にも、以下の金融関係会社を持つ。
新韓カード、新韓金融投資、新韓生命、オレンジライフ、新韓キャピタル、新韓BNPパリバ、資産運用、済州銀行、新韓貯蓄銀行、アジア信託、新韓DS、新韓アイタス、新韓信用情報、新韓代替投資運用、新韓リーツ運用、新韓AI、ネオプラックスの17社だ。
新韓金融、KB金融、ハナ金融、ウリ金融の韓国4大金融持株会社のうち、新韓は今年の第3四半期の累積で純利益が2兆9502億ウォンで1位を維持しており、過去最高の業績を残し、年間最大の業績突破の期待が高まっている。
◆今こそ在日同胞が
このように、在日同胞の熱意で創業した新韓金融グループだからこそ、「筆頭株主」維持へ一致団結を見せているのだ。
「懇親会」の兪在根会長は「祖国の発展に寄与しようという、創業者の李煕健氏ら1世の精神を継承し、今に生かせていきたい」と期待を込めている。
また、「発展した今の韓国があるのは在日同胞の母国への貢献があったから。このことを韓国でも日本でも、若い世代たちに知ってもらいたい」と付け加えた。
◆在日記念館設立も
新韓金融グループでは、過酷な苦難を乗りこえて、祖国の発展に寄与しようとした在日同胞の熱望を込めて、これまで貢献してきた歴史的な出来事を中心に「在日同胞の愛国の歴史」を再照明する「記念館」を建設する計画だ。
早ければ来年、ソウルの新韓銀行光化門支店5階フロアーに、約463平方メートル規模で開設する。
テーマ別展示空間で構成し、役職員だけでなく、一般市民らがいつでも来館できるよう運営する方針だ。
(2020.12.16 民団新聞)