在日韓国青年会(鄭昇栄中央本部会長)のルーツを知る旅「故郷訪問団」が先月20日から23日まで、ソウル市と各地方で実施された。68人の参加者は、訪問2日目から、1泊2日で本籍地など祖先の縁地を訪ねるため6グループに分かれて、昌原(慶尚南道、釜山市、蔚山市)、安東(慶尚北道、大邱市)、順天(全羅南道、光州市)、全州(全羅北道)、大田(忠清南・北道、大田市)、済州に向かった。 昌原、安東グループは慶尚南道道民会、慶尚北道道民会の協力を得て道庁を訪問したほか、現地の青年会議所との交流会も持った。済州グループは「在日済州人センター」のある済州大学と「4・3平和公園」を訪れた。 各グループともコーディネーター同伴で2日間にわたり、伝統市場、博物館、名所地、世界遺産などを巡るフィールドワークを行い歴史探訪、ご当地食文化体験も楽しんだ。4日目、帰国を前に6都市に分かれて故郷訪問した各グループが、マイストーリーを兼ねたルーツ訪問発表会を行った。各グループ代表者6人の思いを紹介する。 |
◆青年会は私の財産慶尚北道 李絵里奈(34・東京)幼い時から通名の李川で生活をしていた。自分が韓国人という意識は特に強くはなかったが、2002年サッカーワールドカップを観て気持ちが大きく変わった。もっと韓国の事を知りたい、自分のルーツを知りたいという気持ちが強くなり、韓国語の勉強を始めた。 大学時代には1年間、韓国の漢陽大学に留学。そして、2016年に初めて青年会の母国訪問に参加し、そこから、青年会の魅力に気づき、東京本部の執行部や全国行事にも何度も参加するようになった。また、東京の慶尚北道道民会の青年部にも入会するなど、青年会の存在は、お金では買えないかけがえのない財産だと思っている。 |
ユネスコの世界遺産にも認定された仏国寺へ |
◆次代に経験伝える慶尚南道 李優志(27・東京)親が民団の役員をやっていることから、子どものころから韓国人という気持ちが強かった。小学校の時に参加したオリニジャンボリーでさらに関心が高まり、現在では民団中央本部の文教局で働いている。 今回初めて自分の故郷を訪れたが、個人ではなかなかできないことなので、参加して本当に良かったし、もっと色々なことを知りたくなった。 僕は次世代育成が一番大事だと思っている。自分が経験したことを、下の世代にも伝えていけるような存在になりたい。 |
慶尚南道道庁を公式訪問した後、昌原青年会議所主催の歓迎晩餐会を楽しんだ |
◆日本にルーツない全羅南道 洪キリアン(23・大坂)イギリスと韓国のハーフです。日本に住んでいるが、日本の血が流れていないのが正直嫌だった。学校では「外人」といじめにあうこともあったし、高校生の時、少しでも日本人に近づきたいと徳山という通名を取得した。 大学生の時に学生会のKSJに参加して在日の友だちができ、もっと自分の事を知りたくなった。全羅南道が本籍地の祖母にルーツの話を積極的に聞くようになった。 9月からイギリスに留学する予定だったが、まず韓国のルーツを先に知りたいと思い、留学を1カ月延ばして、今回の故郷訪問に参加した。 ここでたくさんのことを学び、いろいろな人の話を聞き、後悔なく、イギリスに留学する決意ができた。青年会は何でも話せる最高の場所。イギリスから帰ってきたら、必ずまた参加する。 |
丁酉再乱(慶長の役)の時に築いた日本式の城、順天倭城を訪問 |
◆ハラボジに再会全羅北道 黄亜有(26・東京)父は民団江戸川支部の役員です。過去に青年会江戸川支部の会長も務めていた。 私は通名を使わず、本名を堂々と名乗っていた。小さいころから、本籍地の全羅北道によく訪れていたし、今回の故郷訪問で久しぶりにハラボジに再会した。 大学生になってから、学生会や青年会に参加してきた。今回は初めての全国行事になる。旅行が大好きで、いろいろな国を訪問してきた関係で、就職も旅行会社にした。 国籍は重要ではないと考えている。地球に住んでいるのだから、みんな地球人という考えで生きている。 |
朝鮮王朝の歴史を感じさせる全州の史跡を巡る(慶基殿で) |
黄亜美(右)、亜有姉妹はハラボジと再会を果たした |
◆韓国籍、逆に武器に忠清南道 朴健一(25・東京)小さい頃から韓国籍を逆に武器にしてきた。高校時代はラグビーに没頭。ラグビーの名門校である京都府伏見工業高校のメンバーとして、全国大会にも出場した。大学はスポーツ推薦で関西大学に入学した。 将来の夢は警察官だったが、韓国籍ということで警察官の道が閉ざされた。その後、日本籍を取得した。小さい頃は国籍なんて関係ないと思っていたけど、このことがきっかけで、何で韓国人として自分を生んだんだと思うこともあった。 ただ、今回の故郷訪問に参加して、最高の仲間に出会うことができた。自分のことを包み隠さず話すことができ、一緒にお酒を飲んだり、笑ってくれる仲間ができたことは一生の宝物だ。本当に参加してよかった。参加してなかったら、後悔していたと思う。僕は在日として誇りを持てるようになった。これからも絶対、青年会に参加する。 |
百済王室の陵墓群として知られる宋山里古墳群を巡った |
◆日本人で育ったが済州道 姜愛花(19・宮城)母が民団宮城本部の役員をしている。小さい頃から民団の事は知っていたが、日本籍を取得していたため、佐藤愛花が自分の名前だと認識していた。 私は、日本人として生活していた。変わったのは民団のオリニジャンボリーや民団宮城本部のオリニ事業に参加してからだ。韓国について興味を持ち始めた。 大学は自分のルーツがある済州島の済州大学に通いたいと思っていろいろ勉強したが、韓国語の能力が及ばず通うことができなかった。いつか、韓国の大学でも勉強してみたいと思っている。 現在は、韓国教育院のオリニの先生を手伝ったり、青年会の活動にも積極的に参加している。もっともっと韓国のことや自分のルーツを知って、いろいろなことにチャレンジしていきたい。 |
在日同胞の済州道への貢献を展示している済州大学内の「在日済州人センター」を訪問 |
(2019.10.02 民団新聞) |