掲載日 : [2022-06-24] 照会数 : 3764
レイハラ解雇に抗議…市民団体、韓国人原告支援へ集会
韓国人であることを理由にレイシャルハラスメント(国籍や人種にまつわる差別的言動や取り扱い)を受け、米ニューヨークに本拠を置く世界的な金融機関グループ「モルガン・スタンレー」の日本法人、モルガン・スタンレーMUFG証券を解雇された韓国籍の男性Aさんを支援する集会が11日、都内で開かれた。
Aさんの直属の上司は2012年~19年、業務とはまったく関係のない韓国大統領や韓国政府に対する不平不満、韓国人に対する偏見をAさんの面前で語気荒く、反復継続して披瀝してきた。
耐えきれず、Aさんは20年、会社に被害の申し立てを行った。しかし、会社の人事部がつくった社内調査チームは不十分な調査をもとに「ハラスメントではない」と結論付け、Aさんに「人事以外社内、社外への誰にも本件については連絡してはならない」と命じ、無期限の自宅待機とした。
自宅待機を解除してもらうには、連絡禁止命令を受け入れるという書面に署名しなければならなかった。しかし、Aさんは黙秘の強要に納得できず、苦しんだ末、アメリカ本社のCEOをはじめとする複数の役職者に被害の救済を訴えた。
会社側はAさんの取った行動が「連絡禁止命令に違反している」として21年2月28日付で解雇した。この日は20年度賞与支給日の直前だった。
「解雇されると思っていなかった」Aさんはこの日、家で泣いた。21年3月、モルガン・スタンレー・グループを相手取り地位確認と懲戒処分の無効確認、損害賠償の支払いなどを訴える訴訟を提起した。
7月に口頭弁論
集会を呼びかけたのはNPO法人多氏族共生人権教育センター(大阪市生野区)。同センターの宋貞智副理事長は「裁判に勝ちたい。それには多くの支援者が必要だった」と動機を語った。
基調講演を行った明戸隆浩さん(大阪公立大学経済学部准教授)は「国と国との関係が職場や学校などで国籍差別や民族差別を引き起こすという点で象徴的な案件。一企業の問題ではない。社会全体の傾向が具体的なハラスメントという形で現れた」と分析した。
次回口頭弁論は7月21日、東京地裁で。
(2022.06.22 民団新聞)