掲載日 : [2019-09-11] 照会数 : 7443
虐殺の事実忘れまい…関東大震災から96年、各地で同胞慰霊・追悼
[ 「関東大震災韓国人慰霊碑」に手を合わせる民団神奈川役員 ] [ 民団県北支部の李峰明監察委員長(本庄市長峰墓地) ] [ 民団船橋支部の追悼式から ]
関東大震災から96年目の1日、神奈川、埼玉、千葉の各地でも虐殺された同胞を追悼し、慰霊する法要が営まれた。神奈川と千葉は地元の民団本・支部、埼玉は各地自治体が主催した。
◆追悼碑前で祈り…民団神奈川本部
【神奈川】民団神奈川本部(李順載団長)は1日、太極旗はためく横浜市南区堀之内の青龍山宝生寺で追悼法要を執り行った。住職の読経の流れるなか、関東大震災の起こった11時58分を期して民団職員が境内の鐘を15秒間隔で計9回打ち鳴らした。
読経が終わると参列者は境内の「関東大震災韓国人慰霊碑」前に設けられた祭壇に立ち、李団長ら3機関長を皮切りに次々と線香をあげた。
宝生寺では震災から1年後の1924年に同胞有志が中心となって「横浜朝鮮人追悼会」の法要を行った。追悼法要の会はその後、民団が引き継ぎ、70年9月には現在の慰霊碑を建立した。
◆3自治体を回る…民団埼玉本部
【埼玉】多くの犠牲者を出した県北の本庄市(長峰墓地)、上里町(安盛寺)、熊谷市(メモリアル彩雲)でも1日、行政主催の慰霊祭・追悼式が執り行われ、民団埼玉本部から田虓玔団長をはじめとする役員多数が参列した。
熊谷市主催の追悼式で富岡清市長は、「私たちは犠牲者の方々の悲痛な思いを決して風化させてはならない」と決意を新たにしていた。民団からは地元県北支部の李峰明監察委員長が「お礼の言葉」を読み上げ、「地域社会の発展に寄与し共生社会のために邁進していく」と述べた。
埼玉では東京から避難してきた同胞を県南地域の警察が保護検束し、中山道を通って群馬方面に移送する途中で自警団と群集に襲われた。国の政策に従って県が「不逞鮮人暴動に関する件」という移牒文を出したことが影響したとみられる。
◆排外主義止揚へ民団船橋支部
【千葉】民団船橋支部(張恒星支団長)は1日、同支部会館で「関東大震災被殺同胞追悼式」を執り行った。民団千葉県本部から高炳佑団長が参列した。
はじめに李相輝同支部代表幹事が「96年前の惨劇が2度と起きないように、排外主義的なヘイトスピーチ根絶のために努力していくことを誓う」とした張支団長の追念辞を代読。民団と婦人会の関係者が祭壇に献花した。
大震災で通信網が途絶したなか、船橋の海軍東京無線電信所船橋送信所は流言蛮語を日本全国に伝える役割を果たした。それを信じた自警団が武器を手に建設途中の北総鉄道(現・東武野田線)の工事で働いていた同胞労働者とその家族らに襲いかかった。
船橋市営馬込霊園には「法界無縁塔」(1924年、船橋仏教協会建立)と「関東大震災犠牲同胞慰霊碑」(1947年三・一革命記念、在日朝鮮人連盟建立)の2つの碑が建っている。
(2019.09.11 民団新聞)