
在日同胞の苦難の戦後史、そして韓日美術交流の歩みを現代美術で知ることが出来る「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」(韓国の国立現代美術館と横浜美術館共催、駐横浜大韓民国総領事館・駐日韓国大使館、韓国文化院後援)が、神奈川県横浜市の横浜美術館で開かれている。韓日国交正常化60年の韓日共同企画で同館の主任学芸員である在日3世の日比野民蓉(みよん)さん(39)が、3年以上かけて企画したもので、両国50組以上の作家による約160点の貴重な作品が展示されている。
会場に入ってすぐ、第1章「はざまに‐在日コリアンの視点」と題された展示が強い印象を残す。1945年の解放から戦争、対立、分断を経て韓日国交正常化が成される65年までの約20年間、歴史に翻弄された在日の人々の姿が、曺良奎、郭仁植ら数多くの鮮烈な作品を通して描き出されている。
次の展示では、韓日国交正常化を前後して、1950年に来日して東京大学美術史学科で学んだ世界的ビデオアーティストのナムジュン・パイク、韓国現代アートの朴栖甫、日本を拠点に活動し国際的にも高い評価を得ている李禹煥、在日2世で「大統領と郭」の連作で知られ、昨年7月に亡くなった郭徳俊の作品などを通して、80年代までの韓日アート界の交流を振り返る。
そして「あたらしい世代、あたらしい関係」として、韓国のイ・ブルをはじめ両国の新時代アーティストによる作品、ラストでは「ともに生きる」と題して、韓日そして在日3世らの若手アーティストによる現代社会を考察した作品を通して、現在に至る韓日交流の活発さを伝える。
会場を訪れた「多文化共生をめざす川崎歴史ミュージアム設立委員会事務局」の橋本みゆきさんは、「2時間半かけて鑑賞しました。多様なコリアン、コリアンと日本の多くの関わりが展示されており、学芸員にはこういうすばらしい表現ができるのだなと思いました。特に日本人男性と在日女性の結婚物語が興味深かったです」と展示の感想を語った。
日比野さんは「戦後の韓日関係を考えるとき、『はざま』を生きた在日同胞の存在が欠かせないことは、ずっと問題意識としてあった。これまで注目されなかった45年から65年前後に至る美術史を在日作家の作品などで振り返りつつ、戦後80年の歴史を個人の話(物語)を通して俯瞰する展覧会として構成した。(同展が)未来に向けて共に歩みを進めるヒントになればと願っている」と話す。
同展は3月22日まで。料金一般2000円ほか。☎045・221・0300(横浜美術館)。5月から韓国の国立現代美術館果川でも開催を予定している。
※プレゼント
同展に抽選で5組10人招待。住所、氏名、電話番号、希望プレゼント名を明記し、はがきかメールで民団新聞まで。