民団中央本部人権擁護委員会(委員長=李根茁・前宮城県本部団長)は、国連人種差別撤廃委員会による対日審査に際して、18日から21日までジュネーブに陳情団を派遣し、「日本における人種差別と排外主義を煽り立てるヘイトスピーチの深刻さに留意し、人種差別を決して容認しないよう法律を整備するよう、積極的に日本政府に働きかける」よう同撤廃委員会委員らに要望した。
李委員長と権清志委員(直選中央委員)、徐史晃委員(青年会中央会長)、趙学植弁護士からなる陳情団は、対日審査に先立ち、撤廃委員会の各委員に「日本におけるレイシズムとヘイトスピーチに関する報告書」を提出するとともに、非公式ミーティング、NGO主催のブリーフィングなどを通じてプレゼンテーションを行った。
プレゼンテーションでは1,ヘイトスピーチ規制法・人種差別禁止法制定の必要性2,日本内における在日韓国人将来世代への不安3,ジェノサイドの恐怖に言及し、「日本政府が批准を留保している人種差別撤廃条約4条(a)(b)に関する留保を撤回し、ヘイトスピーチを法律で処罰すべき違法行為または犯罪であると認めて直接的な法的規制・処罰の対象とする立法の策定に努力すべきだ」と強調した。
20・21両日行われた対日審査では、委員から「ヘイトスピーチは暴力だ」として、規制導入が促された。勧告書作成を担当するケマル委員(パキスタン)は「(ヘイトスピーチ規制は)憲法と矛盾しない」と強調。ヘイトスピーチに関連して、「包括的な差別禁止法の制定が必要」とする日本政府への勧告案をまとめた。29日には、この案を基にした「最終見解」が公表される。
なお、2008年以来6年ぶりに日本の人権状況を審査していた国連規約人権委員会は7月24日、「日本では外国人に対する差別を扇動する行為が広がっている」とし、「差別を受ける側が刑法上・民法上、十分に保護されていない」と指摘。「差別と暴力を招く人種的優越感や憎悪を助長する主張をすべて禁止しなければならない」と提言、日本政府に対し、ヘイトスピーチの禁止などを求める「最終見解」と題した改善勧告を出した。
(2014.8.27 民団新聞)