JRが公的価値認め寄贈
【兵庫】JR元町駅西の高架下商店街(神戸市中央区)から昨年11月、66年ぶりに発見された朝鮮建国促進青年同盟(略称、建青)兵庫県本部のポスターが神戸市立博物館で展示されている。ポスターの公的価値を認めたJRが、専門家の手を借りてコンクリート壁から慎重にはがし、修復、表装作業を施したうえで同博物館に寄贈した。
「よくこんなものが出てきたなー。正直驚くとともに、とても感動している」。ここは神戸市立博物館の展示コーナー。オリジナルのポスターを目の当たりにした民団兵庫本部の李圭燮副団長がつぶやいた。
李副団長は1947年生まれ。くしくもこのポスターが貼られた年だ。20歳で在日韓国学生組織に。当時、先輩から建青の話しをよく聞かされたという。
ポスターは建青の結成2周年記念大会への参加を呼びかける内容。開催地は新開地の関西劇場とあった。新開地は民団兵庫本部発祥の地でもある。李副団長は「このポスターには韓半島、そして民団の歴史が凝縮されている」と感無量の面持ちだった。
展示コーナーには当時の町の様子が分かるように闇市のパネルも掲げた。解放直後の神戸もヤミ市が盛んだった。ここは敵対関係にあった在日本朝鮮人連盟(朝連)との抗争の舞台であり、中国人、台湾人も含めてしばしば乱闘事件も起きた。
朴一さん(大阪市立大学大学院教授)の父親・朴憲行さんは、武闘派集団として知られる建青尼崎「アリラン部隊」に所属していた。憲行さんから幼いころに聞いたヤミ市の様子はいまでも鮮明に記憶している。
「当時の建青は血の気の多い人が多かった。日本の警察も手が出せないほどの治外法権状態のなか、ヤミ市で活動の担い手となって蓄財し、その豊富な資金をもとに勢力を拡大していったと聞いた。46年11月の尼崎支部結成には後に民団の中央本部初代団長となる朴烈さんや当時のヒーロー的存在だった歌手の小畑実さんを呼んだ。それだけの力があったということだ」。
10月5日まで(29日は休館)。神戸市立博物館(078・391・0035)。なお、同ポスターのレプリカは民団兵庫本部(車得龍団長)と日本の市民団体の協力のもと、東京の在日韓人歴史資料館に寄託された。同じく、一般社団法人神戸コリア教育文化センターにも保管されている。
朝鮮建国促進青年同盟
「新朝鮮建設同盟(建同)」とともに現在の民団の母胎となった組織の一つ。略称「建青」。同中央本部は1945年11月16日、東京芝区田村町の飛行会館で発足。兵庫本部も同年12月15日、神戸・新開地のガスビルに3000人余りの同胞が参加して結成大会を挙行した。
(2014.9.24 民団新聞)